君と出会いキラキラになる
2006年10月5日 SS月曜日
店の開店時間に間に合わなくなりそうで焦ってた所へ丁度通りかかったから
取り巻きから抜け出るネタのダシにつかった。
本人は
「大変だね。」
と一言
わかってんだかわかってないんだか。
火曜日
向こうから「一緒に帰らない?」と声を掛けてきた。
別に断る理由もなかったし、珍しく取り巻きの女子もいなかったから帰った。…いや、『帰ってやった』。
そういえば文化祭が近い。
言われて思い出した。
水曜日
放課後美術室に入っていくのを偶然見た。いや本当偶然。
どうやら文化祭の美術部出展準備が大変らしい
まぁがんばれ。
木曜日
取り巻きに捕まる。
またダシに使えないかと待ってみたけど来なかった。
ええぃ役立たずめ。明日チョップしてやろう。
金曜日
面倒な日直。チョップし損ねた。
誰もいなくなった教室の窓を閉める。
その時下校する姿を偶然見つけた。
いや、だから本当『偶然』
で、よくみたら隣に金髪が並んでた。
クリスなんたらとかいう奴。
なんか笑いながら歩いてる。
あ。なんか無性に腹立つ。おもしろくない。
チョップ倍の刑にしてやる。
土曜日
ホームルームがほぼ同時に終わった。
なんとなく見てみたら一人だった。
なんとなく眼で追って。周りに取り巻きもいない事がわかって。
なんとなく声掛けてみようと思った。
「なぁ」
「あれ?佐伯君。」
「…お前も今帰り?真っ直ぐ帰るんならその辺まで一緒に行くか?」
この後お茶して帰った
「敵情視察」だ。
別に他意はない。ほんとに。
でもまたチョップし損ねたから、また声掛けてみようと思った。
次は月曜日。
…気付いたら一週間終わってた。
***
友好〜ときめきの間な佐伯君→主人公ちゃんを書いてみた。
ついでに1人称のリハビリ。
友好状態の佐伯君は一緒にいて楽しいと思う。
そういえば下校のお誘い受けたの女の子ズとクリス君と佐伯君と天地君だけで志波君と氷上君とハリーと若王子先生から誘われたことないな。
二人三脚も佐伯君とクリス君とハリーだけ。
何故か!志波君の時も氷上君の時も、二人ともときめき状態だったのに誘ってきたの佐伯なんだよ!(ちなみに佐伯君は友好状態)
佐伯の懐きの速さが笑えます。
店の開店時間に間に合わなくなりそうで焦ってた所へ丁度通りかかったから
取り巻きから抜け出るネタのダシにつかった。
本人は
「大変だね。」
と一言
わかってんだかわかってないんだか。
火曜日
向こうから「一緒に帰らない?」と声を掛けてきた。
別に断る理由もなかったし、珍しく取り巻きの女子もいなかったから帰った。…いや、『帰ってやった』。
そういえば文化祭が近い。
言われて思い出した。
水曜日
放課後美術室に入っていくのを偶然見た。いや本当偶然。
どうやら文化祭の美術部出展準備が大変らしい
まぁがんばれ。
木曜日
取り巻きに捕まる。
またダシに使えないかと待ってみたけど来なかった。
ええぃ役立たずめ。明日チョップしてやろう。
金曜日
面倒な日直。チョップし損ねた。
誰もいなくなった教室の窓を閉める。
その時下校する姿を偶然見つけた。
いや、だから本当『偶然』
で、よくみたら隣に金髪が並んでた。
クリスなんたらとかいう奴。
なんか笑いながら歩いてる。
あ。なんか無性に腹立つ。おもしろくない。
チョップ倍の刑にしてやる。
土曜日
ホームルームがほぼ同時に終わった。
なんとなく見てみたら一人だった。
なんとなく眼で追って。周りに取り巻きもいない事がわかって。
なんとなく声掛けてみようと思った。
「なぁ」
「あれ?佐伯君。」
「…お前も今帰り?真っ直ぐ帰るんならその辺まで一緒に行くか?」
この後お茶して帰った
「敵情視察」だ。
別に他意はない。ほんとに。
でもまたチョップし損ねたから、また声掛けてみようと思った。
次は月曜日。
…気付いたら一週間終わってた。
***
友好〜ときめきの間な佐伯君→主人公ちゃんを書いてみた。
ついでに1人称のリハビリ。
友好状態の佐伯君は一緒にいて楽しいと思う。
そういえば下校のお誘い受けたの女の子ズとクリス君と佐伯君と天地君だけで志波君と氷上君とハリーと若王子先生から誘われたことないな。
二人三脚も佐伯君とクリス君とハリーだけ。
何故か!志波君の時も氷上君の時も、二人ともときめき状態だったのに誘ってきたの佐伯なんだよ!(ちなみに佐伯君は友好状態)
佐伯の懐きの速さが笑えます。
鬼・日輪の申し子攫いて
2006年8月13日 SS「所詮は我も…駒の一つ…フ、フフ…」
「・・・・・。」
降り止む気配を見せない豪雨のなか、存在すらかき消してしまうほどのか細い声は鬼にだけ届いた。
力尽き崩れる申し子の眼前にはただ黙したままの鬼が見下ろす。
雨が肢体を打つのを全身で受けながら、何も動きを見せない鬼に自嘲的な笑みを見せながら口を開く。
「…なぜ斬らぬ。」
鬼は動かない
「俺はあんたを殺しに来たんじゃねぇ。」
「フ、西海の鬼が…下らぬ情に絆されたか。」
申し子は顔を上げない。
日輪の拝めぬ空に向けるものはない。没した日はただ地に伏せるのみ。
「俺はアンタを俺の駒にする気もねぇし、部下にする気もねぇ。
財宝もないなら手の出しようがねぇし。天下武布なんてことも興味がねぇ。」
「ならば何故我が高松城を…、厳島を落とした…!!
よもや海賊風情の遊戯と申すのではあるまい…!!」
申し子が鬼を睨む。
鬼は臆せぬ、ただその眼を受ける。
「俺はアンタの顔を見てぇと思った。
そんで船に乗せてやりてぇな、ってただそう思っただけだぜ。」
「下らぬ…!下らぬわ!!海賊如きに蹂躙されるならば我自ら…!!」
鬼が笑った。
「アンタの好きな日輪とやらも見れるんだぜ。」
「…。」
「別に強制はしねぇ、回りくどいのも嫌いだ。
行くか、行かねぇのか。どっちかだ。」
鬼が手を差し伸べた
-----
まぁたやっちまったね。
前回のとちょっとリンク
いやー今日元親の天下統一やっててvs元就戦みてたら衝動的に。
「所詮は我も」のセリフは実際ゲームの中で元就を撃破した時に彼が言うセリフで、ふつうならこのまま終了して次のステージに行くのですが、元親でプレイしているときだけこのセリフの後に「・・・・・。」って元親の意味深な沈黙があるのですよ!!
こりゃもうあのあと元親絶対この子攫っていくだろうな。
という妄想式が簡単に成立しました。
「・・・・・。」
降り止む気配を見せない豪雨のなか、存在すらかき消してしまうほどのか細い声は鬼にだけ届いた。
力尽き崩れる申し子の眼前にはただ黙したままの鬼が見下ろす。
雨が肢体を打つのを全身で受けながら、何も動きを見せない鬼に自嘲的な笑みを見せながら口を開く。
「…なぜ斬らぬ。」
鬼は動かない
「俺はあんたを殺しに来たんじゃねぇ。」
「フ、西海の鬼が…下らぬ情に絆されたか。」
申し子は顔を上げない。
日輪の拝めぬ空に向けるものはない。没した日はただ地に伏せるのみ。
「俺はアンタを俺の駒にする気もねぇし、部下にする気もねぇ。
財宝もないなら手の出しようがねぇし。天下武布なんてことも興味がねぇ。」
「ならば何故我が高松城を…、厳島を落とした…!!
よもや海賊風情の遊戯と申すのではあるまい…!!」
申し子が鬼を睨む。
鬼は臆せぬ、ただその眼を受ける。
「俺はアンタの顔を見てぇと思った。
そんで船に乗せてやりてぇな、ってただそう思っただけだぜ。」
「下らぬ…!下らぬわ!!海賊如きに蹂躙されるならば我自ら…!!」
鬼が笑った。
「アンタの好きな日輪とやらも見れるんだぜ。」
「…。」
「別に強制はしねぇ、回りくどいのも嫌いだ。
行くか、行かねぇのか。どっちかだ。」
鬼が手を差し伸べた
-----
まぁたやっちまったね。
前回のとちょっとリンク
いやー今日元親の天下統一やっててvs元就戦みてたら衝動的に。
「所詮は我も」のセリフは実際ゲームの中で元就を撃破した時に彼が言うセリフで、ふつうならこのまま終了して次のステージに行くのですが、元親でプレイしているときだけこのセリフの後に「・・・・・。」って元親の意味深な沈黙があるのですよ!!
こりゃもうあのあと元親絶対この子攫っていくだろうな。
という妄想式が簡単に成立しました。
deserted child
2006年8月1日 SS厳島が、堕ちた。
残る高松城で一時の難を逃れるも攻められるのは最早時間の問題
―忌々しい、役立たずの駒共めが
ぎり、と家臣に気取られないよう唇を噛む。
急ぎ取り付けたばかりの屋根からは天から落ちる大量の雫を抑え切れていない。
隙間を抜ける雨水が元就の頬を、鎧を、濡らす。
「…元就様」
小さくギュッと握った拳に気付いた軍師が伺うように問う。
その声に我に返った元就は卓上に展開させた布陣の図へ生気なく視線を落とした。
「いかがいたしましょう、この戦場の打開、どう見られまする。」
「我が兵どもが奴らの雑兵を自船に乗せねばいいだけのこと。
我に同じ事を二度も言わせるでない。」
「も、申し訳ございませぬ…。」
この愚か者を今すぐ殺してしまいたい。と思った。
しかし今の状態ではたとえ一兵でも惜しい。
元就はどうにもやり切れぬ思いと振るえぬ采配に唯苛立ちを覚えるだけだった。
「で、伝令!!元就様!!」
そこへ突然、足の速い足軽が一人慌しく転がり込むように駆けつけてきた。
「何事だ騒々しい。」
元就は敵将に向けるような冷めた視線をその足軽にやった。
その視線に足軽が小さくひぃと声を上げたことには目を瞑る。
「長曽我部軍自船に乗り込み完了!ま、まもなく此方に総攻撃を開始する動きあり…!!」
「なに…?!貴様ら…我の策を遂行せよとあれ程…!
我が軍の被害状況…いや、そんな物はどうでもよいすぐに代わりの兵どもを出せ。
背に火薬玉を背負わせその船に突撃させよ。」
淡々としながら告げた言葉に軍師と足軽が息を呑む音が聞こえた。
「聞こえなかったのか。早々に取り掛かれ。」
「…承知。」
膝をついていた足軽が頭を下げた後立ち上がって戦場へと馳せ戻る。
軍師がいまだ元就の表情を伺うように見ていることに気づき、視線だけで「下がれ」と告げた。
―長曽我部元親。…西海の鬼…
目を瞑り天を仰ぐ。
黒雲は途切れず、日を隠し雨を降らしている。
―…日輪も我を捨てる、か。
「おう、おめぇらとっとと準備しやがれ!」
「へい兄貴!もう間もなく!」
―日輪の捨て子…。俺が拾い上げにいってやろうじゃねぇか
船上の鬼が、笑ふ。
----
さっそくかよ。みたいな、ね。
どうせなら元親の姫若子の時の流れも組んでほしかったなー。
残る高松城で一時の難を逃れるも攻められるのは最早時間の問題
―忌々しい、役立たずの駒共めが
ぎり、と家臣に気取られないよう唇を噛む。
急ぎ取り付けたばかりの屋根からは天から落ちる大量の雫を抑え切れていない。
隙間を抜ける雨水が元就の頬を、鎧を、濡らす。
「…元就様」
小さくギュッと握った拳に気付いた軍師が伺うように問う。
その声に我に返った元就は卓上に展開させた布陣の図へ生気なく視線を落とした。
「いかがいたしましょう、この戦場の打開、どう見られまする。」
「我が兵どもが奴らの雑兵を自船に乗せねばいいだけのこと。
我に同じ事を二度も言わせるでない。」
「も、申し訳ございませぬ…。」
この愚か者を今すぐ殺してしまいたい。と思った。
しかし今の状態ではたとえ一兵でも惜しい。
元就はどうにもやり切れぬ思いと振るえぬ采配に唯苛立ちを覚えるだけだった。
「で、伝令!!元就様!!」
そこへ突然、足の速い足軽が一人慌しく転がり込むように駆けつけてきた。
「何事だ騒々しい。」
元就は敵将に向けるような冷めた視線をその足軽にやった。
その視線に足軽が小さくひぃと声を上げたことには目を瞑る。
「長曽我部軍自船に乗り込み完了!ま、まもなく此方に総攻撃を開始する動きあり…!!」
「なに…?!貴様ら…我の策を遂行せよとあれ程…!
我が軍の被害状況…いや、そんな物はどうでもよいすぐに代わりの兵どもを出せ。
背に火薬玉を背負わせその船に突撃させよ。」
淡々としながら告げた言葉に軍師と足軽が息を呑む音が聞こえた。
「聞こえなかったのか。早々に取り掛かれ。」
「…承知。」
膝をついていた足軽が頭を下げた後立ち上がって戦場へと馳せ戻る。
軍師がいまだ元就の表情を伺うように見ていることに気づき、視線だけで「下がれ」と告げた。
―長曽我部元親。…西海の鬼…
目を瞑り天を仰ぐ。
黒雲は途切れず、日を隠し雨を降らしている。
―…日輪も我を捨てる、か。
「おう、おめぇらとっとと準備しやがれ!」
「へい兄貴!もう間もなく!」
―日輪の捨て子…。俺が拾い上げにいってやろうじゃねぇか
船上の鬼が、笑ふ。
----
さっそくかよ。みたいな、ね。
どうせなら元親の姫若子の時の流れも組んでほしかったなー。
in little time
2006年7月22日 SS コメント (4)―変な奴だ。と思った。
自己紹介してないのに俺のこと知ってて、
前からの友達みたいに馴れ馴れしくて、
気付いたら目の前にいた。
「アヤ、帰るぞ」
「うん。」
転校早々仲の良い友達が出来たのか、アヤは数人の女の子に囲まれていた。
それでも俺が来たことに気付くと友達に『バイバイ』と言ってかけてくる。
そのまま俺が手を伸ばす前にアヤは俺の手を握る。
さっきから笑顔が絶えない。
「もう友達が出来たのか?」
「うん!」
弾けるように顔をあげて俺を見ながら、指折り数え友達の名前を挙げていった。
「おにいちゃんは?」
「ん?」
アヤは両手で俺の手を握って見上げてきた。
「おにいちゃんはお友達できた?」
「…変な奴なら…」
「え?なぁに?」
「なんでもない。」
そういってアヤの頭を撫でる。
そこでその話題を終わらせ、俺達は下駄箱へと出た。
「おにいちゃんはやくー!」
「走るなアヤ、転ぶぞ。」
「へーきだもん。」
お気に入りの靴を鳴らしながら誰もいないその場所でクルクルと走る。
どうやら本当に此処に来られたのが楽しいらしかった。
俺はいつものペースで靴を履き、緩んだ紐を結ぶ。
立ち上がってからつま先をトントンと叩いた。
それを見ていたサヤが駆け寄ってきてまた手を繋ぐ。
「ま、まってよミツルー!!」
二人で校舎を出ようとしたとき呼び止められた。
(…三谷)
立ち止まっても振り返らない俺を不思議そうにアヤが見つめる。
「もー、授業終わったらさっさと帰っちゃうんだもん、焦ったよ。あ、アヤちゃんも一緒だったんだね、こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
俺は思わずアヤを後ろに隠して振り返った。
「なんなんだよお前。」
「え?なにが?」
「何でアヤの名前を知っている?なんで俺のこと知ってたんだ?」
教室から全力疾走してきたのか、三谷の額にはうっすら汗がにじんでいた。
当たり前のような俺の問に三谷は不思議そうな顔をするだけだった。
「そりゃ友達の妹だもん。」
「いつ俺とお前が友達になった。」
「んー…、ミツルが知らないときから。」
「…はぁ?」
「そんなことよりさ…」
変な奴だ、本当に。
訳がわからない。
「一緒に帰ろう、ミツル。」
「…!」
―『最後なんて言うなよ!一緒に帰ろうミツルー!!!』
「…ワ…タル…?」
聞こえないように言ったつもりなのに、三谷は何故か凄く嬉しそうに笑っていた。
BGM:いつかまた会いましょう by GARNET CROW
***
『Tiamo』のミツルサイド。
たぶんね、現代に帰ってきてからはワタルがめちゃくちゃ積極的にミツルにくっついてったと思うんだ。
で、ワタルの言葉とか行動であの時の記憶がフラッシュバック。
最後にはミツルがワタルを抱きしめてハッピーエンド!!みたいな。ね。
自己紹介してないのに俺のこと知ってて、
前からの友達みたいに馴れ馴れしくて、
気付いたら目の前にいた。
「アヤ、帰るぞ」
「うん。」
転校早々仲の良い友達が出来たのか、アヤは数人の女の子に囲まれていた。
それでも俺が来たことに気付くと友達に『バイバイ』と言ってかけてくる。
そのまま俺が手を伸ばす前にアヤは俺の手を握る。
さっきから笑顔が絶えない。
「もう友達が出来たのか?」
「うん!」
弾けるように顔をあげて俺を見ながら、指折り数え友達の名前を挙げていった。
「おにいちゃんは?」
「ん?」
アヤは両手で俺の手を握って見上げてきた。
「おにいちゃんはお友達できた?」
「…変な奴なら…」
「え?なぁに?」
「なんでもない。」
そういってアヤの頭を撫でる。
そこでその話題を終わらせ、俺達は下駄箱へと出た。
「おにいちゃんはやくー!」
「走るなアヤ、転ぶぞ。」
「へーきだもん。」
お気に入りの靴を鳴らしながら誰もいないその場所でクルクルと走る。
どうやら本当に此処に来られたのが楽しいらしかった。
俺はいつものペースで靴を履き、緩んだ紐を結ぶ。
立ち上がってからつま先をトントンと叩いた。
それを見ていたサヤが駆け寄ってきてまた手を繋ぐ。
「ま、まってよミツルー!!」
二人で校舎を出ようとしたとき呼び止められた。
(…三谷)
立ち止まっても振り返らない俺を不思議そうにアヤが見つめる。
「もー、授業終わったらさっさと帰っちゃうんだもん、焦ったよ。あ、アヤちゃんも一緒だったんだね、こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
俺は思わずアヤを後ろに隠して振り返った。
「なんなんだよお前。」
「え?なにが?」
「何でアヤの名前を知っている?なんで俺のこと知ってたんだ?」
教室から全力疾走してきたのか、三谷の額にはうっすら汗がにじんでいた。
当たり前のような俺の問に三谷は不思議そうな顔をするだけだった。
「そりゃ友達の妹だもん。」
「いつ俺とお前が友達になった。」
「んー…、ミツルが知らないときから。」
「…はぁ?」
「そんなことよりさ…」
変な奴だ、本当に。
訳がわからない。
「一緒に帰ろう、ミツル。」
「…!」
―『最後なんて言うなよ!一緒に帰ろうミツルー!!!』
「…ワ…タル…?」
聞こえないように言ったつもりなのに、三谷は何故か凄く嬉しそうに笑っていた。
BGM:いつかまた会いましょう by GARNET CROW
***
『Tiamo』のミツルサイド。
たぶんね、現代に帰ってきてからはワタルがめちゃくちゃ積極的にミツルにくっついてったと思うんだ。
で、ワタルの言葉とか行動であの時の記憶がフラッシュバック。
最後にはミツルがワタルを抱きしめてハッピーエンド!!みたいな。ね。
「お前、こんなのもわからないのか?」
外は時々刻々と太陽が斜陽へと変わりはじめていた。
カーテンを開け放した放課後の教室の床は暁色に滲んでいる。
「なんだよー。教えてやるって言ったのミツルじゃないか。」
ノートの上に鉛筆が転がった。
白い紙は黒い数字で埋もれていた。
ミツルにしてみれば単純明解なその数式のならびも、ワタルには難解な暗号文のように写る。
それでも助力を得ながら立ち向かおうとしているのはミツルも苦笑してしまう程にわかっていた。
「だって此処が比例で…あっ!うー…ん」
ぶつぶつと難しそうな表情をしたかと思えば、時折閃いたかのような笑みを浮かべる。
しかし最後にはまた苦悶の色に戻る。
コロコロと山の天候の様に変わるそれにミツルは気付かれないよう何度も笑みを堪えた。
「あ、そうだ!」
突然ワタルは顔をあげた。
ミツルは「解けたのか?」と問う。
「この後時間ある?」
「…は?」
自分の問いとはどう考えても無関係な答えにミツルは思わず間の抜けた声をだした。
「またあの神社行こうよ!算数教えてくれた御礼に今度は僕が奢るからさ!!」
ワタルの声は徐々にはじけていった。
しかしミツルの顔には何か思案するような皺が眉間に寄っていた。
やがてミツルは怪訝そうに問う。
「『また』…?それに『今度は』って?」
「…え」
「俺はこの学校に来てからお前と神社に行った事なんてないし、お前に何か奢った覚えもないぞ?」
「…でも、だってあの時…」
そこで言葉は消失するように切れた。
−あの時、確かにミツルがいて、
僕にジュース買ってくれて、
炭酸が切れた口の中の傷にものすごく滲みて。
「…ワタル?」
いきなり黙り込んでしまったワタルを下から不思議そうに覗き込む。
からかうようにワタルの眼前で手をひらひらさせてみてもワタルの目の焦点は不確かのまま合うことはなかった。
−でも、此処にいるミツルはあのミツルじゃなくて、でもやっぱりミツルで
『お前は本当にお人よしだな…ワタル。』
あの時のミツルの手も赤い血もあったかくって。
僕だけがミツルの知らないミツルを知ってて…
でもミツルはあの時の僕を知らない
僕には僕の中だけのミツルがいるのに
ミツルの中に僕はいない
「ワタル!!」
「い”っ!!?」
額に尋常じゃない痛みが走った。
涙が滲んだんじゃないかとワタルは額を押さえ席から弾けるように立ち上がってミツルを睨んだ。
「なにすんだよミツル!!」
「急に黙ったまま俺の事無視したお前が悪い。」
ミツルは口端だけを吊り上げ、頬杖をつきながら笑う。
「…しかし」
「…?」
急にミツルも自分の額を押さえ机にうなだれかける。
「お前結構石頭だったんだな…俺も痛い。」
いつも余裕を含んだような態度のミツルが今は目を閉じたまま動かない。
そんな様子をみていたワタルの肩が次第に振るえ始めた。
「…プッ!アハハハハハ!!」
額の痛みと腹を抱えてしまう程爆発的な笑みがワタルの瞳を滲ませた。
「笑いすぎだバカ」
「だって…!!ミツルってば…!!」
ただでさえ苦しい過呼吸の状態で無理矢理紡ぐ言葉は所所に穴を穿つ。
そんなワタルに面白くなさそうに目を逸らした。
その間も堪え切れない笑いを零していたワタルはやがて早々と机の上に散乱していたノートや鉛筆を片付け始めた。
それをみたミツルはワタルより早く身支度を済ませ立ち上がりワタルに背を向けて歩き始めた。
「あ、ちょっと待ってよミツル!」
慌ててランドセルを背負い後を追う。
ミツルはそのまま廊下に進み出た。
「なに怒ってるんだよー」
「怒ってない。俺はそんなお子様じゃないからな。」
ミツルはそこで急に立ち止まった。
ワタルはぶつかる寸前でブレーキを効かせる。
自分の鼻先数センチの所にミツルの背が写った。
「早くしろよワタル。道をしらない俺が先に行っても意味がない。」
そういって繋いだミツルの手は確かに温かかった。
BGM
Mysteruious Eyes or HAREDOKEI
by GARNET CROW
------
原作のベッタベタさを意識しすぎた。
映画版終了後の話を勝手に考えて作ってみた。
あれ?どうしようなんかミツルが受け臭い。
しかし今の小学生の算数って何教わってるんだろう。
外は時々刻々と太陽が斜陽へと変わりはじめていた。
カーテンを開け放した放課後の教室の床は暁色に滲んでいる。
「なんだよー。教えてやるって言ったのミツルじゃないか。」
ノートの上に鉛筆が転がった。
白い紙は黒い数字で埋もれていた。
ミツルにしてみれば単純明解なその数式のならびも、ワタルには難解な暗号文のように写る。
それでも助力を得ながら立ち向かおうとしているのはミツルも苦笑してしまう程にわかっていた。
「だって此処が比例で…あっ!うー…ん」
ぶつぶつと難しそうな表情をしたかと思えば、時折閃いたかのような笑みを浮かべる。
しかし最後にはまた苦悶の色に戻る。
コロコロと山の天候の様に変わるそれにミツルは気付かれないよう何度も笑みを堪えた。
「あ、そうだ!」
突然ワタルは顔をあげた。
ミツルは「解けたのか?」と問う。
「この後時間ある?」
「…は?」
自分の問いとはどう考えても無関係な答えにミツルは思わず間の抜けた声をだした。
「またあの神社行こうよ!算数教えてくれた御礼に今度は僕が奢るからさ!!」
ワタルの声は徐々にはじけていった。
しかしミツルの顔には何か思案するような皺が眉間に寄っていた。
やがてミツルは怪訝そうに問う。
「『また』…?それに『今度は』って?」
「…え」
「俺はこの学校に来てからお前と神社に行った事なんてないし、お前に何か奢った覚えもないぞ?」
「…でも、だってあの時…」
そこで言葉は消失するように切れた。
−あの時、確かにミツルがいて、
僕にジュース買ってくれて、
炭酸が切れた口の中の傷にものすごく滲みて。
「…ワタル?」
いきなり黙り込んでしまったワタルを下から不思議そうに覗き込む。
からかうようにワタルの眼前で手をひらひらさせてみてもワタルの目の焦点は不確かのまま合うことはなかった。
−でも、此処にいるミツルはあのミツルじゃなくて、でもやっぱりミツルで
『お前は本当にお人よしだな…ワタル。』
あの時のミツルの手も赤い血もあったかくって。
僕だけがミツルの知らないミツルを知ってて…
でもミツルはあの時の僕を知らない
僕には僕の中だけのミツルがいるのに
ミツルの中に僕はいない
「ワタル!!」
「い”っ!!?」
額に尋常じゃない痛みが走った。
涙が滲んだんじゃないかとワタルは額を押さえ席から弾けるように立ち上がってミツルを睨んだ。
「なにすんだよミツル!!」
「急に黙ったまま俺の事無視したお前が悪い。」
ミツルは口端だけを吊り上げ、頬杖をつきながら笑う。
「…しかし」
「…?」
急にミツルも自分の額を押さえ机にうなだれかける。
「お前結構石頭だったんだな…俺も痛い。」
いつも余裕を含んだような態度のミツルが今は目を閉じたまま動かない。
そんな様子をみていたワタルの肩が次第に振るえ始めた。
「…プッ!アハハハハハ!!」
額の痛みと腹を抱えてしまう程爆発的な笑みがワタルの瞳を滲ませた。
「笑いすぎだバカ」
「だって…!!ミツルってば…!!」
ただでさえ苦しい過呼吸の状態で無理矢理紡ぐ言葉は所所に穴を穿つ。
そんなワタルに面白くなさそうに目を逸らした。
その間も堪え切れない笑いを零していたワタルはやがて早々と机の上に散乱していたノートや鉛筆を片付け始めた。
それをみたミツルはワタルより早く身支度を済ませ立ち上がりワタルに背を向けて歩き始めた。
「あ、ちょっと待ってよミツル!」
慌ててランドセルを背負い後を追う。
ミツルはそのまま廊下に進み出た。
「なに怒ってるんだよー」
「怒ってない。俺はそんなお子様じゃないからな。」
ミツルはそこで急に立ち止まった。
ワタルはぶつかる寸前でブレーキを効かせる。
自分の鼻先数センチの所にミツルの背が写った。
「早くしろよワタル。道をしらない俺が先に行っても意味がない。」
そういって繋いだミツルの手は確かに温かかった。
BGM
Mysteruious Eyes or HAREDOKEI
by GARNET CROW
------
原作のベッタベタさを意識しすぎた。
映画版終了後の話を勝手に考えて作ってみた。
あれ?どうしようなんかミツルが受け臭い。
しかし今の小学生の算数って何教わってるんだろう。
ジーコまんジャパーン
2006年5月17日 SS―反吐がでる
似合わない口調も
不釣合いな白い服も
偽りの翠眼も、なにもかも
「…また来ていらしたんですか。」
「なんだ。今日は玄関から入ってやったし、机にも乗ってない。
お前の望むとおりにしてやってるじゃないか。」
気味の悪い翠眼が鋭くなる。
「帰ってください。あなたも大概しつこいですねヴェンツェル。」
「イブの娘を渡せ。そうすればこんな場所に誰が来るか。」
ステンドグラスに差し込む月光が銀髪に反射した。
「お断りです。そう言ったでしょう。何度きても同じです。」
語尾がだんだんと強くなると同時に聖書を握る手に力が入っていく。
―殺せればどんなに楽か
「俺が憎いか?殺したいか?クラウス司祭サマ。」
赤眼が翠眼を捕らえた。
殺せるものなら殺してみろ、と両腕を大きく広げる。
唇をかみ締めるだけで動けない司祭を見ると口端を吊り上げて鼻を鳴らす。
「あぁ、神に仕える身のものは、例え相手が誰であろうと殺せないのか。」
「…私は神の教えに叛くつもりはありません。」
ち、とヴェンツェルが舌をならした。
「気に入らねぇな。」
コツコツと誰もいない教会に足音が響く。
「その口調も、態度も、白い服も、その」
一歩、また一歩と司祭の男に近づく。
司祭は一歩も引かない。
やがて距離は司祭に手が届くほどに縮まった。
「―翠の目も。」
かちゃ、とレンズを外す。
「お前も、俺と同じ赤がお似合いだクラウス。」
翠が、赤に変わる。
「…返せ。」
「ク、本性現しやがったな?イブの娘がみたらさぞ驚くだろうな。」
赤い目が交差する。
銀髪の男は偽りの司祭の顎に手を掛け上げさせた。
「イブの娘を渡せないというなら、お前が俺の所にくればいい。
そうすれば間接的に俺の願いはかなう。あの娘に手を出す必要もなくなる。」
「消えろ。また首を絞められたいか。」
「…絞めるだけで殺せない癖に、よく言えたもんだ。」
フン、と手を放し床に眼鏡を放りなげた。
司祭は眼前の男を睨みつけたまま其れを拾い上げ掛けなおす。
赤が翠に戻る
「彼女を渡す気もありませんし貴方のものになる気もありません。お引取り下さい。」
「…お前、もしかして俺を怒らせるために態とやってるのか。」
「…仮にそうだとしたらなんだっていうんですか。」
「いつか殺してやる。」
「殺せませんよ、私が貴方を殺せないように。」
「…また来てやるぜ司祭サマ。」
銀が宙に舞って月光に溶けいった。
これこの前日記で書いた携帯恋シュミのネタです。
ホントに腐女子向けだわ。
似合わない口調も
不釣合いな白い服も
偽りの翠眼も、なにもかも
「…また来ていらしたんですか。」
「なんだ。今日は玄関から入ってやったし、机にも乗ってない。
お前の望むとおりにしてやってるじゃないか。」
気味の悪い翠眼が鋭くなる。
「帰ってください。あなたも大概しつこいですねヴェンツェル。」
「イブの娘を渡せ。そうすればこんな場所に誰が来るか。」
ステンドグラスに差し込む月光が銀髪に反射した。
「お断りです。そう言ったでしょう。何度きても同じです。」
語尾がだんだんと強くなると同時に聖書を握る手に力が入っていく。
―殺せればどんなに楽か
「俺が憎いか?殺したいか?クラウス司祭サマ。」
赤眼が翠眼を捕らえた。
殺せるものなら殺してみろ、と両腕を大きく広げる。
唇をかみ締めるだけで動けない司祭を見ると口端を吊り上げて鼻を鳴らす。
「あぁ、神に仕える身のものは、例え相手が誰であろうと殺せないのか。」
「…私は神の教えに叛くつもりはありません。」
ち、とヴェンツェルが舌をならした。
「気に入らねぇな。」
コツコツと誰もいない教会に足音が響く。
「その口調も、態度も、白い服も、その」
一歩、また一歩と司祭の男に近づく。
司祭は一歩も引かない。
やがて距離は司祭に手が届くほどに縮まった。
「―翠の目も。」
かちゃ、とレンズを外す。
「お前も、俺と同じ赤がお似合いだクラウス。」
翠が、赤に変わる。
「…返せ。」
「ク、本性現しやがったな?イブの娘がみたらさぞ驚くだろうな。」
赤い目が交差する。
銀髪の男は偽りの司祭の顎に手を掛け上げさせた。
「イブの娘を渡せないというなら、お前が俺の所にくればいい。
そうすれば間接的に俺の願いはかなう。あの娘に手を出す必要もなくなる。」
「消えろ。また首を絞められたいか。」
「…絞めるだけで殺せない癖に、よく言えたもんだ。」
フン、と手を放し床に眼鏡を放りなげた。
司祭は眼前の男を睨みつけたまま其れを拾い上げ掛けなおす。
赤が翠に戻る
「彼女を渡す気もありませんし貴方のものになる気もありません。お引取り下さい。」
「…お前、もしかして俺を怒らせるために態とやってるのか。」
「…仮にそうだとしたらなんだっていうんですか。」
「いつか殺してやる。」
「殺せませんよ、私が貴方を殺せないように。」
「…また来てやるぜ司祭サマ。」
銀が宙に舞って月光に溶けいった。
これこの前日記で書いた携帯恋シュミのネタです。
ホントに腐女子向けだわ。
「・・・・・。」
「どうした?降参かい、甘寧さんよ。」
フン、と一つ鼻で笑い腕を組みながら、目の前の碁盤と険しい顔でにらめっこしている男に、この上なく楽しそうに聞く。
一方の甘寧は、眼力でこの碁でも動かし始めるのではないかと思うほどしばらく無意味になまでに力を入れて打開策を立てようとするが、やがて数秒粘ったのち全身の力を溜息と共に抜く。
「あー…!くそ、参ったよ。ったく、これで10戦10敗かよ。」
「へ、俺に勝とうなんて100年早いっての。」
得意げに頬杖を付いて笑う凌統をよそに、甘寧はもう一度溜息をついて、後頭部を掻きながら勢いよく立ち上がった。
―リン
「…なぁ。」
「あん?」
「なんでいつもお前ソレつけてんだ?」
「ソレって…この鈴のことか?」
急に声の張りがなくなったことに気づいてはいないらしい甘寧は、ソレと言われ向けられた視線を追った。
目的のものに見当をつけた甘寧は指先で鈴を弄んだ。
―リン、リン、リン
「敵さんに『俺はここにいますよー』って言ってるようなもんじゃん。」
―木魂する、音。忘れてはいけない、あの、音。
「おう、まさにその通りよ。」
凌統の言葉にさも誇らしげに胸を張った。あまり期待していなかった返答に凌統は甘寧を視線だけで見上げた。
「『死にたくない奴はこの音が聞こえたらさっさと逃げやがれ、この甘寧様がやってくるぜ』って警告してやってんだよ!そうすりゃ無駄な雑魚相手にしなくて済むだろ?」
「…っけ、猪武者の考えそうなこった。」
耳を塞ぎたくなる様な感覚に陥らないようそこから視線を外す。
自分からふっかけた話題なのに最悪な気分になってしまうとは、我ながら見事な墓穴ほりだ。と内心で舌打ちをした。
―父上も、この音を聞いたのだろうか。
その時、父上はどう思ったのだろう、この耳に張り付くような音を。
―『敵は斬る!仲間は守る!!それだけだ!!』
―鈴の音と一緒に聞かされたあの言葉。憎い、憎くて仕方が無い音。
リン、
「…い」
リン、リン
「い!おい!!凌統!!」
「んぁっ何だよ、デカイ声だし…て。」
突如自分によってきた音と大きな声にハッと我に返った凌統が顔を上げるとそこには予想外に近くにあった甘寧の顔。
凌統は思わず反射的にわずかに仰け反った。
目の前のそれはさんざん無視されたからか眉間に皺がよっている。甘寧は腰をかがめて数センチ先の凌統の顔を覗き込んだままだ。
「おめーが呼んでも答えねぇからだろうが!おら!もう一局付き合え!今度は負けねぇからな!」
どん!と乱暴な音をたてて、椅子代わりに使っている木箱に腰を下ろした。その時木箱がメキっと音を立てた所を聞くとどうやらその寿命は長くなさそうだ。
リン。
「…なんどやったって俺には勝てないっつーの。」
「言ってろ!!」
木魂する、忘れてはいけない音。
これが聞こえる限り、確かにコイツは、ココにいる。
「そんじゃ、始めますかね。」
凌統は可能な限り、目の前の碁盤に集中しようとそれだけを思った。
-----
あは、書いちゃった★(ねちっこく)
こんど編集して言語りにupしなおそうかしら。
☆拍手レス☆
19時頃の方々たくさんの拍手ありがとうございました。
明日明後日と試験のコンボに悲鳴を上げそうです。
「どうした?降参かい、甘寧さんよ。」
フン、と一つ鼻で笑い腕を組みながら、目の前の碁盤と険しい顔でにらめっこしている男に、この上なく楽しそうに聞く。
一方の甘寧は、眼力でこの碁でも動かし始めるのではないかと思うほどしばらく無意味になまでに力を入れて打開策を立てようとするが、やがて数秒粘ったのち全身の力を溜息と共に抜く。
「あー…!くそ、参ったよ。ったく、これで10戦10敗かよ。」
「へ、俺に勝とうなんて100年早いっての。」
得意げに頬杖を付いて笑う凌統をよそに、甘寧はもう一度溜息をついて、後頭部を掻きながら勢いよく立ち上がった。
―リン
「…なぁ。」
「あん?」
「なんでいつもお前ソレつけてんだ?」
「ソレって…この鈴のことか?」
急に声の張りがなくなったことに気づいてはいないらしい甘寧は、ソレと言われ向けられた視線を追った。
目的のものに見当をつけた甘寧は指先で鈴を弄んだ。
―リン、リン、リン
「敵さんに『俺はここにいますよー』って言ってるようなもんじゃん。」
―木魂する、音。忘れてはいけない、あの、音。
「おう、まさにその通りよ。」
凌統の言葉にさも誇らしげに胸を張った。あまり期待していなかった返答に凌統は甘寧を視線だけで見上げた。
「『死にたくない奴はこの音が聞こえたらさっさと逃げやがれ、この甘寧様がやってくるぜ』って警告してやってんだよ!そうすりゃ無駄な雑魚相手にしなくて済むだろ?」
「…っけ、猪武者の考えそうなこった。」
耳を塞ぎたくなる様な感覚に陥らないようそこから視線を外す。
自分からふっかけた話題なのに最悪な気分になってしまうとは、我ながら見事な墓穴ほりだ。と内心で舌打ちをした。
―父上も、この音を聞いたのだろうか。
その時、父上はどう思ったのだろう、この耳に張り付くような音を。
―『敵は斬る!仲間は守る!!それだけだ!!』
―鈴の音と一緒に聞かされたあの言葉。憎い、憎くて仕方が無い音。
リン、
「…い」
リン、リン
「い!おい!!凌統!!」
「んぁっ何だよ、デカイ声だし…て。」
突如自分によってきた音と大きな声にハッと我に返った凌統が顔を上げるとそこには予想外に近くにあった甘寧の顔。
凌統は思わず反射的にわずかに仰け反った。
目の前のそれはさんざん無視されたからか眉間に皺がよっている。甘寧は腰をかがめて数センチ先の凌統の顔を覗き込んだままだ。
「おめーが呼んでも答えねぇからだろうが!おら!もう一局付き合え!今度は負けねぇからな!」
どん!と乱暴な音をたてて、椅子代わりに使っている木箱に腰を下ろした。その時木箱がメキっと音を立てた所を聞くとどうやらその寿命は長くなさそうだ。
リン。
「…なんどやったって俺には勝てないっつーの。」
「言ってろ!!」
木魂する、忘れてはいけない音。
これが聞こえる限り、確かにコイツは、ココにいる。
「そんじゃ、始めますかね。」
凌統は可能な限り、目の前の碁盤に集中しようとそれだけを思った。
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あは、書いちゃった★(ねちっこく)
こんど編集して言語りにupしなおそうかしら。
☆拍手レス☆
19時頃の方々たくさんの拍手ありがとうございました。
明日明後日と試験のコンボに悲鳴を上げそうです。
世界の皆が幸せになりますように
「そんなことありっこないよね」
「どうして?」
「だってさ、人間なんてその数の分だけ嫌になるくらい自分と違うものをもってるんだよ。
だからさ、例えば人を傷つけたり殺すことでしか幸福を感じない人がいたとして
その人が幸福を感じたときってどこかでだれかが不幸になってるってことじゃない?」
「…そうだね」
「でも誰だって幸せになりたいって思う権利はあるしなる権利もあるんだ。
僕も凄く幸福になりたい。」
「…それが、今君が僕に銃口を突きつけている理由?
君もそういうことで幸せを感じる人?」
「さぁ。僕にもわかんないよ。」
「なにそれ。」
「だって僕はこういうことしたことないし、幸せかどうかなんて何か其れまでの過程を振り返って改めて実感するものでしょ?」
「そんな曖昧な理由で殺されるの嫌だなぁ。
…それで君がそういう人間じゃなかったらどうするのさ。」
「そのときは僕もすぐに後を追うよ」
****
…なんか私すごく病んでる子みたい
いや色々ありますけど別にどん底にいるわけじゃないですからね。
なんとなく書いてみただけですから、ほんとに。
そういえば最近面白いフラッシュ探すの好きです(なんだこの展開)これとか、なんかすごくくだらないのに妙に笑えて何度も見てますもし宜しければどうぞ
文頭にhをつけてね
ttp://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=15623
「そんなことありっこないよね」
「どうして?」
「だってさ、人間なんてその数の分だけ嫌になるくらい自分と違うものをもってるんだよ。
だからさ、例えば人を傷つけたり殺すことでしか幸福を感じない人がいたとして
その人が幸福を感じたときってどこかでだれかが不幸になってるってことじゃない?」
「…そうだね」
「でも誰だって幸せになりたいって思う権利はあるしなる権利もあるんだ。
僕も凄く幸福になりたい。」
「…それが、今君が僕に銃口を突きつけている理由?
君もそういうことで幸せを感じる人?」
「さぁ。僕にもわかんないよ。」
「なにそれ。」
「だって僕はこういうことしたことないし、幸せかどうかなんて何か其れまでの過程を振り返って改めて実感するものでしょ?」
「そんな曖昧な理由で殺されるの嫌だなぁ。
…それで君がそういう人間じゃなかったらどうするのさ。」
「そのときは僕もすぐに後を追うよ」
****
…なんか私すごく病んでる子みたい
いや色々ありますけど別にどん底にいるわけじゃないですからね。
なんとなく書いてみただけですから、ほんとに。
そういえば最近面白いフラッシュ探すの好きです(なんだこの展開)これとか、なんかすごくくだらないのに妙に笑えて何度も見てますもし宜しければどうぞ
文頭にhをつけてね
ttp://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=15623
―魔王の影に死神を見た
戦国最強と恐れられていた騎馬軍、今はもう古臭いと云われざるを得ないその戦法。
次々と倒れ行く馬、その上に重なる骸と化した僅か数秒前まで人であったもの。
「…命粗末にしちゃってcoolじゃないねぇ。」
その状況を森の深い崖の上から見下ろす男。
無残としか言い様の無いその場を眺めながらぼやく内に、ある一点へ視点が集中した。せざるを得なかった。
数十人は居るだろう武田側の足軽に囲まれた男がいた。
やられたな、と思い、瞬きをした後、立っていたのは囲まれた男のほうだった。
酷く暗い。正宗は思った。
太陽に反射する腰下まではある銀髪はこんなにも明るく眩しいのに。あの男だけ空間が違う。
恐らくあの男の家臣だろう。三河側にあんな奴がいたのならば頭がなくとも戦国最強武士本多忠勝と並びあっさりと天下を手中にしている。
正宗は既に戦場を眺めるというよりはその男だけを見ていた。
「…笑ってやがる。ただの雑魚じゃないな。」
「明智光秀。だろ?独眼流。」
前触れも無く背後に気配を感じた。
臆せず刀を抜き振り返ると、キィンと金属音が響いた。
「これはこれは。真田忍隊の長、猿飛佐助。また妙なところに出てきたもんだ。」
「一応言っておくがアンタが隠れてる場所、俺たちには丸見えだぜ?」
忍特有の刃がきしりと鳴る。
細身の割には力強く正宗の刀を押していた。
「わざわざ教えに来てくれたついでに俺を殺そうってかい?」
「言っただろ、アンタとは気が合いそうにないってさ。」
「おいおい、俺はこの乱に乗じて参戦しようなんて腹ぁ持ち合わせちゃいねぇぜ?」
「…アンタはいずれ大将の首を狙うつもりだろ?そんなことされちゃうと旦那がおかしくなっちまうんでね。」
「へっ、俺も嫌われたもんだねぇ。そりゃいいが別の時の方がいいんじゃねえか?アンタの大事な旦那、さっきから苦戦してるみたいだぜ。」
佐助は目の前の男を殺すことにだけ囚われていたのか、その言葉に力を緩めぬまま戦場をちらりとみた。
「ちっ、また無茶してんな…」
敵武将に囲まれた幸村を見つけると小さく舌打ちを残し、地を蹴り上げると宙に消えた。
音も無く姿を消したのを見、刀を納めると再び戦場へと視線を落とした。
あの男が両手の鎌を振るい戦場を紅く散らしながら駆けていた。
正宗は男の異質さの理由がわかった気がした。
あの男、光秀からは主君に対する敬意というものが感じられない。
むしろその逆で殺意の方がより強い。
「どうやら俺もあの男も狙うもんは同じみてぇだな…。」
いきなり光秀の動きが止まった。
―目が合った気がした。
この距離ではみつかる筈が無いのに。
何故か自分を見て笑っているような気さえ起きる。
「…今度のpartyは退屈せずに済みそうだ…」
―どっちがあの男の首を獲るか。
正宗はくっと喉の奥で小さく笑った。
なんかもうSSで収まってないですね。
というか佐助を出したのはね、単にこの二人の絡みが好きだからです。正宗vs佐助で幸村争奪戦ってすごく萌えます(言い切っちゃったよこの人)
ちなみに一部ゲーム内で実際に使われたセリフを利用してみました。
あぁだれかこの楽しみを分かち合って…!
☆拍手レス☆
本日午前11時頃の方々ありがとうございました。
戦国最強と恐れられていた騎馬軍、今はもう古臭いと云われざるを得ないその戦法。
次々と倒れ行く馬、その上に重なる骸と化した僅か数秒前まで人であったもの。
「…命粗末にしちゃってcoolじゃないねぇ。」
その状況を森の深い崖の上から見下ろす男。
無残としか言い様の無いその場を眺めながらぼやく内に、ある一点へ視点が集中した。せざるを得なかった。
数十人は居るだろう武田側の足軽に囲まれた男がいた。
やられたな、と思い、瞬きをした後、立っていたのは囲まれた男のほうだった。
酷く暗い。正宗は思った。
太陽に反射する腰下まではある銀髪はこんなにも明るく眩しいのに。あの男だけ空間が違う。
恐らくあの男の家臣だろう。三河側にあんな奴がいたのならば頭がなくとも戦国最強武士本多忠勝と並びあっさりと天下を手中にしている。
正宗は既に戦場を眺めるというよりはその男だけを見ていた。
「…笑ってやがる。ただの雑魚じゃないな。」
「明智光秀。だろ?独眼流。」
前触れも無く背後に気配を感じた。
臆せず刀を抜き振り返ると、キィンと金属音が響いた。
「これはこれは。真田忍隊の長、猿飛佐助。また妙なところに出てきたもんだ。」
「一応言っておくがアンタが隠れてる場所、俺たちには丸見えだぜ?」
忍特有の刃がきしりと鳴る。
細身の割には力強く正宗の刀を押していた。
「わざわざ教えに来てくれたついでに俺を殺そうってかい?」
「言っただろ、アンタとは気が合いそうにないってさ。」
「おいおい、俺はこの乱に乗じて参戦しようなんて腹ぁ持ち合わせちゃいねぇぜ?」
「…アンタはいずれ大将の首を狙うつもりだろ?そんなことされちゃうと旦那がおかしくなっちまうんでね。」
「へっ、俺も嫌われたもんだねぇ。そりゃいいが別の時の方がいいんじゃねえか?アンタの大事な旦那、さっきから苦戦してるみたいだぜ。」
佐助は目の前の男を殺すことにだけ囚われていたのか、その言葉に力を緩めぬまま戦場をちらりとみた。
「ちっ、また無茶してんな…」
敵武将に囲まれた幸村を見つけると小さく舌打ちを残し、地を蹴り上げると宙に消えた。
音も無く姿を消したのを見、刀を納めると再び戦場へと視線を落とした。
あの男が両手の鎌を振るい戦場を紅く散らしながら駆けていた。
正宗は男の異質さの理由がわかった気がした。
あの男、光秀からは主君に対する敬意というものが感じられない。
むしろその逆で殺意の方がより強い。
「どうやら俺もあの男も狙うもんは同じみてぇだな…。」
いきなり光秀の動きが止まった。
―目が合った気がした。
この距離ではみつかる筈が無いのに。
何故か自分を見て笑っているような気さえ起きる。
「…今度のpartyは退屈せずに済みそうだ…」
―どっちがあの男の首を獲るか。
正宗はくっと喉の奥で小さく笑った。
なんかもうSSで収まってないですね。
というか佐助を出したのはね、単にこの二人の絡みが好きだからです。正宗vs佐助で幸村争奪戦ってすごく萌えます(言い切っちゃったよこの人)
ちなみに一部ゲーム内で実際に使われたセリフを利用してみました。
あぁだれかこの楽しみを分かち合って…!
☆拍手レス☆
本日午前11時頃の方々ありがとうございました。
影響されやすいにも程がある
2005年11月2日 SS晴天のもと、空と風を切り裂き焔を放つ音が耳に響く。
「…やれやれ、精が出るこって…。」
「…?佐助か?」
太い木の枝に逆さまに立ちながらぼやく声が聞こえ、声の主に振り返ると同時に双槍の音が止んだ。
頭髪をまとめる為に結んだ赤い紐が揺れる。
それを目で追いながらくるっと体を返し地に下りる。
「戦のない日一日位そういうものから手ぇ放そうとは思わないの?」
「何を言う、こういう日だからこそいつなんどき御館様を狙う者が現れてもよいように鍛錬をすべきだ。」
忍びにしては聊か派手な赤みがかった髪を掻きながら問うた佐助に、さも当然のように幸村が返した。
「…あぁ、そ」
―ほんっと、愛されてるねぇ武田の旦那
「何か用か佐助、無ければ俺はこっちを続けたいのだが。」
その場に溜息をつきながら腰を下ろす佐助を見やり幸村が言った。問いの返答を待ちながらその両手は既に地に刺さった槍に伸びていた。
「ねえ旦那。」
胡坐を掻いた膝の上に肘を置き頬杖を付きながら佐助が口を開く。
「旦那は何であの大将について行ってんの?」
その問いに幸村は槍をズボっと抜きながら、一瞬だけ佐助を見る。
「我が真田家は代々御館様に仕えてきた。」
「…それだけ?」
「俺はあの方こそこの国を統一するに相応しいお方だと信じている。
それに御館様は俺の尊敬すべき人、その方の手助けをしようとするのに理由などいるのか?」
佐助のその疑問をぶつけてきた事の方が疑問に感じてしまった幸村は少しきょとんとしたような表情で答えた。
「なぜそのような事を聞く?…まさか、お前御館様を…?!」
「ちゃうちゃう、ただ聞きたかっただけ。」
話の素っ頓狂な飛躍に、肘を付いていないほうの手をぷらぷらと振る。
「俺が仕えてんのは武田の大将というより、旦那。
俺は旦那にずっと付いてくつもりだし、旦那が武田の大将を支えるってんなら俺はそんな旦那を支えたいだけよ。」
「…そうか。」
佐助の答えを聞くと幸村は肩と腕をならすようにゆっくりと槍を振り出した。
―あらら、軽く流されちゃったよ。今俺結構いいこと言ったんだけどねぇ。
「佐助?」
「はいよ?」
かくっと軽くうなだれた佐助を見て、尚も素振りを止めずに幸村が声をかけた。
その声に首を上げて幸村の顔を見上げた。
「…もしかして、お前怒っているのか?」
「…へ?」
突拍子も無い問いに今度は佐助が素っ頓狂な声を上げた。
「俺は時々佐助が何を思っているのかわからないんだ。
怒っているのかそうじゃないのか、お前は感情を表に出さないから…。」
「いやそりゃ俺忍びだし。」
―やっぱこの人…
「幸村ー!!幸村!何処におるか!!」
突然城の奥のほうから遠くまで重く響く野太い声が届いた。
幸村はその声にぱっと顔を明るくする。
もし彼に犬の耳でも付いていたらピクっと立てていそうだ。
「御館様!!幸村こちらに!!只今より早急にそちらに参りまする!!御用ならなんなりと!!」
大声で答えながらきびすを返し、忍びの自分の俊敏さすら凌ぐのではないかというような速さで幸村は走り出した。
「おいおい旦那舌かまないでよ?」
―やっぱりこの人、そうとう虚け者かもね、大将に関してないことなんか特に。
…たまには掟破って直情的にいった方がいいのかねえ…。
どんどん小さくなる幸村の背中を佐助はただ見つめていた。
---
すみません、耐え切れず書き殴ってしまいました。
だって…
だって
幸村バカなんだもん。それを通り越して可愛いんだもん
ところで史実じゃ幸村って自身が直接信玄に仕えてたことがないらしいんですね。
真田家が武田家に仕えていたのは事実ですが。
というか武田さんが戦の最中に病死してしまうシーンがこのゲームでもあったら幸村どうするのかね。
後追いとかしちゃうのかね。(おい)
☆拍手レス☆
18時頃の方々
本当にありがとうございます。スタミナ溜まってきますよー。
「…やれやれ、精が出るこって…。」
「…?佐助か?」
太い木の枝に逆さまに立ちながらぼやく声が聞こえ、声の主に振り返ると同時に双槍の音が止んだ。
頭髪をまとめる為に結んだ赤い紐が揺れる。
それを目で追いながらくるっと体を返し地に下りる。
「戦のない日一日位そういうものから手ぇ放そうとは思わないの?」
「何を言う、こういう日だからこそいつなんどき御館様を狙う者が現れてもよいように鍛錬をすべきだ。」
忍びにしては聊か派手な赤みがかった髪を掻きながら問うた佐助に、さも当然のように幸村が返した。
「…あぁ、そ」
―ほんっと、愛されてるねぇ武田の旦那
「何か用か佐助、無ければ俺はこっちを続けたいのだが。」
その場に溜息をつきながら腰を下ろす佐助を見やり幸村が言った。問いの返答を待ちながらその両手は既に地に刺さった槍に伸びていた。
「ねえ旦那。」
胡坐を掻いた膝の上に肘を置き頬杖を付きながら佐助が口を開く。
「旦那は何であの大将について行ってんの?」
その問いに幸村は槍をズボっと抜きながら、一瞬だけ佐助を見る。
「我が真田家は代々御館様に仕えてきた。」
「…それだけ?」
「俺はあの方こそこの国を統一するに相応しいお方だと信じている。
それに御館様は俺の尊敬すべき人、その方の手助けをしようとするのに理由などいるのか?」
佐助のその疑問をぶつけてきた事の方が疑問に感じてしまった幸村は少しきょとんとしたような表情で答えた。
「なぜそのような事を聞く?…まさか、お前御館様を…?!」
「ちゃうちゃう、ただ聞きたかっただけ。」
話の素っ頓狂な飛躍に、肘を付いていないほうの手をぷらぷらと振る。
「俺が仕えてんのは武田の大将というより、旦那。
俺は旦那にずっと付いてくつもりだし、旦那が武田の大将を支えるってんなら俺はそんな旦那を支えたいだけよ。」
「…そうか。」
佐助の答えを聞くと幸村は肩と腕をならすようにゆっくりと槍を振り出した。
―あらら、軽く流されちゃったよ。今俺結構いいこと言ったんだけどねぇ。
「佐助?」
「はいよ?」
かくっと軽くうなだれた佐助を見て、尚も素振りを止めずに幸村が声をかけた。
その声に首を上げて幸村の顔を見上げた。
「…もしかして、お前怒っているのか?」
「…へ?」
突拍子も無い問いに今度は佐助が素っ頓狂な声を上げた。
「俺は時々佐助が何を思っているのかわからないんだ。
怒っているのかそうじゃないのか、お前は感情を表に出さないから…。」
「いやそりゃ俺忍びだし。」
―やっぱこの人…
「幸村ー!!幸村!何処におるか!!」
突然城の奥のほうから遠くまで重く響く野太い声が届いた。
幸村はその声にぱっと顔を明るくする。
もし彼に犬の耳でも付いていたらピクっと立てていそうだ。
「御館様!!幸村こちらに!!只今より早急にそちらに参りまする!!御用ならなんなりと!!」
大声で答えながらきびすを返し、忍びの自分の俊敏さすら凌ぐのではないかというような速さで幸村は走り出した。
「おいおい旦那舌かまないでよ?」
―やっぱりこの人、そうとう虚け者かもね、大将に関してないことなんか特に。
…たまには掟破って直情的にいった方がいいのかねえ…。
どんどん小さくなる幸村の背中を佐助はただ見つめていた。
---
すみません、耐え切れず書き殴ってしまいました。
だって…
だって
幸村バカなんだもん。それを通り越して可愛いんだもん
ところで史実じゃ幸村って自身が直接信玄に仕えてたことがないらしいんですね。
真田家が武田家に仕えていたのは事実ですが。
というか武田さんが戦の最中に病死してしまうシーンがこのゲームでもあったら幸村どうするのかね。
後追いとかしちゃうのかね。(おい)
☆拍手レス☆
18時頃の方々
本当にありがとうございます。スタミナ溜まってきますよー。
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