『日常的』 という幸せ
2012年8月30日 SS駄文垂れ流し注意。隠してないよ。手探り感ありありの黒バス
本日もあたたかい拍手ありがとうございましたー!
パソコンで書かれた無機質な字の羅列。そこに赤ペンの斜線が並ぶ。
字に対して、引っ掛かりや歪みがある分、人手のぬくもりようなものが存在していた。
斜線、斜線、マル、斜線、マル・・・・。プリントの最後に30という数字。
「・・・非常に申し上げにくいのですが・・・。」
その紙を真ん中に、一つの机に向かい合うように、二人の生徒が座っていた。
そのうちの一人、銀と青が混じったような色の髪の少年が、声量の足りない声でそう言った。それを聞いて、反対側に居た、赤髪で大柄の少年が顔を上げた。
「火神君はあほですか?」
「申し上げにくいつったわりにサラッと言いやがったな黒子てめぇ。」
「言いたくて言ったわけじゃないんです。他に表しようがなかったんですよ。」
銀髪の青年、黒子は無表情のまま溜息をついた。そして机の上の、100点満点中30点というある意味奇跡的な成績を収めた、漢字テストのプリントを見た。
「僕のヤマ勘、7割がた当たってたじゃないですか、今回の漢字テスト。なのに」
どうしてこの点数なんですか。最後まで言いはしなかった。
「いや・・・」
バスケットコートに立っている時の彼と同一人物とは思えないほど、あほ呼ばわりされた男子生徒―火神の声は小さかった。気まずそうに視線を窓に移した。
「配られた問題見て、お前に教えてもらった奴ばっかりだったのに気付いて頭ん中で『よっしゃ来た!これはいけるぜ!』って叫んだ瞬間・・・覚えたもん全部飛んだ・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・で、来週さいしっつわれたから、また教えろ、ヤマ勘。」
「ヤマ勘はもう必要ないでしょ?」
「あぁ?てめぇが90点だなんてご立派な点数取ったから、もう馬鹿の面倒見きれねぇってか?!」
自虐と逆切れの見事なコラボレーションである。火神を良く知らない人物がこの場面に出くわしたら、何かしらの脅しを受けているのではと担任に通報されかねない光景だった。
しかし、がなる火神に対して、黒子は冷静と言う名のマイペースっぷりで眉一つ動かさなかった。
「いや、だって再試ならもう問題判ってるじゃないですか。」
「なんでそんなんわかるんだよ?」
「・・・・えっ。」
黒子はなんとなく嫌な予感がした。それでも冷や汗と言うものがこの少年にはないらしい。唐突にプリントを裏返し、鉛筆を火神に差し出した。
「火神君、ちょっとここに、再テスト・・・再試という漢字を書いてみてください。」
「は?なんだいきなり。」
「少し、確かめたいことがあるんで・・・。」
「あんだ、馬鹿にしてんのか?いくら俺でもそれくらい書けるっつーの。」
片腕を椅子の背もたれに書けながら、火神は利き腕で豪快な字をそこに書いた。
―堂々と、大きく、『再死』、と。
「・・・・・・。」
沈黙する黒子に対し、火神はどうだと言わんばかりに鼻をフンと鳴らして鉛筆を転がした。
「二文字目の誤字によってえらい不穏な二字熟語になってるんですが。」
「てことは半分は当たってんだろ?だったら三角でいいだろ。」
「その交渉が成立するのは小学校の低学年までだと思います。・・・ところで、どうしてこれが合っていると思ったんですか?」
「いやだってよ、さいしって『一発で出来なかったんだからもう一辺死ぬくらいの気持ちで取り組め』ってんだろ?」
「・・・(もう深く考えるのやめましょうか)。とりあえず、正しい字を横に書いておきますから、来週のテストまでにしっかり覚えてくださいね。」
黒子は何かを諦め、青いボールペンで答えを書いて行った。裏面に書いた再死もついでに添削して。火神はそれを目で追いながら『あーそういやそんな字だったな』と呑気に呟いていた。
「おい黒子。今度のこの再試で満点取ったらハンバーガーおごれ。」
「なんですか唐突に。ていうか正直それ横暴です。」
「何か張り合いがねぇと勉強なんてやる気でねぇんだよ。代わりにしくじったら俺がおごるからよ。」
「僕はハンバーガーじゃなくてバニラシェイクでいいです。」
「へっ、相変わらず甘ったるいもんなんか飲みやがって。良いぜ、10杯でも20杯でも奢ってやる。」
なぜか妙に勝ち誇ったように笑い、火神は添削の終わったプリントを手に席を立って教室を出て行った。
―一週間後
「・・・えっと・・・とりあえず、今日はごちになります。火神君。」
机の上に崩れ落ちている火神に、黒子は躊躇いつつも、丁寧に頭を下げて言った。そして窓から吹き込む風に煽られるプリントを再度見やった。
その点数、10点
「(まさかこれ以上下がりしろがあるとは思いませんでした。)・・・ちなみにいったい何があったんですか、これ。」
「いや・・・。」
火神は突っ伏したまま応えた。
「・・・丸々同じもん出るんだったらもう答えもわかってるし、余裕じゃんって思って前日までほっといたら・・・こうなった。」
「・・・・・・。」
「監督に、喝を入れて頂きましょう、火神君。きっとその方が火神君のためになると思います。」
長い沈黙の後、黒子は無表情なままそう告げた。
放課後の、部活が始まる少し前の出来事。
----
いくらなんでもここまで馬鹿じゃないよな、火神。なんかあまりにも日常的過ぎて普通に原作でありそう。
手元に資料がない状態で書いたので、口調とかあやふやです。
黒子っちに「アホですか?」って言わせたかっただけ。
本日もあたたかい拍手ありがとうございましたー!
パソコンで書かれた無機質な字の羅列。そこに赤ペンの斜線が並ぶ。
字に対して、引っ掛かりや歪みがある分、人手のぬくもりようなものが存在していた。
斜線、斜線、マル、斜線、マル・・・・。プリントの最後に30という数字。
「・・・非常に申し上げにくいのですが・・・。」
その紙を真ん中に、一つの机に向かい合うように、二人の生徒が座っていた。
そのうちの一人、銀と青が混じったような色の髪の少年が、声量の足りない声でそう言った。それを聞いて、反対側に居た、赤髪で大柄の少年が顔を上げた。
「火神君はあほですか?」
「申し上げにくいつったわりにサラッと言いやがったな黒子てめぇ。」
「言いたくて言ったわけじゃないんです。他に表しようがなかったんですよ。」
銀髪の青年、黒子は無表情のまま溜息をついた。そして机の上の、100点満点中30点というある意味奇跡的な成績を収めた、漢字テストのプリントを見た。
「僕のヤマ勘、7割がた当たってたじゃないですか、今回の漢字テスト。なのに」
どうしてこの点数なんですか。最後まで言いはしなかった。
「いや・・・」
バスケットコートに立っている時の彼と同一人物とは思えないほど、あほ呼ばわりされた男子生徒―火神の声は小さかった。気まずそうに視線を窓に移した。
「配られた問題見て、お前に教えてもらった奴ばっかりだったのに気付いて頭ん中で『よっしゃ来た!これはいけるぜ!』って叫んだ瞬間・・・覚えたもん全部飛んだ・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・で、来週さいしっつわれたから、また教えろ、ヤマ勘。」
「ヤマ勘はもう必要ないでしょ?」
「あぁ?てめぇが90点だなんてご立派な点数取ったから、もう馬鹿の面倒見きれねぇってか?!」
自虐と逆切れの見事なコラボレーションである。火神を良く知らない人物がこの場面に出くわしたら、何かしらの脅しを受けているのではと担任に通報されかねない光景だった。
しかし、がなる火神に対して、黒子は冷静と言う名のマイペースっぷりで眉一つ動かさなかった。
「いや、だって再試ならもう問題判ってるじゃないですか。」
「なんでそんなんわかるんだよ?」
「・・・・えっ。」
黒子はなんとなく嫌な予感がした。それでも冷や汗と言うものがこの少年にはないらしい。唐突にプリントを裏返し、鉛筆を火神に差し出した。
「火神君、ちょっとここに、再テスト・・・再試という漢字を書いてみてください。」
「は?なんだいきなり。」
「少し、確かめたいことがあるんで・・・。」
「あんだ、馬鹿にしてんのか?いくら俺でもそれくらい書けるっつーの。」
片腕を椅子の背もたれに書けながら、火神は利き腕で豪快な字をそこに書いた。
―堂々と、大きく、『再死』、と。
「・・・・・・。」
沈黙する黒子に対し、火神はどうだと言わんばかりに鼻をフンと鳴らして鉛筆を転がした。
「二文字目の誤字によってえらい不穏な二字熟語になってるんですが。」
「てことは半分は当たってんだろ?だったら三角でいいだろ。」
「その交渉が成立するのは小学校の低学年までだと思います。・・・ところで、どうしてこれが合っていると思ったんですか?」
「いやだってよ、さいしって『一発で出来なかったんだからもう一辺死ぬくらいの気持ちで取り組め』ってんだろ?」
「・・・(もう深く考えるのやめましょうか)。とりあえず、正しい字を横に書いておきますから、来週のテストまでにしっかり覚えてくださいね。」
黒子は何かを諦め、青いボールペンで答えを書いて行った。裏面に書いた再死もついでに添削して。火神はそれを目で追いながら『あーそういやそんな字だったな』と呑気に呟いていた。
「おい黒子。今度のこの再試で満点取ったらハンバーガーおごれ。」
「なんですか唐突に。ていうか正直それ横暴です。」
「何か張り合いがねぇと勉強なんてやる気でねぇんだよ。代わりにしくじったら俺がおごるからよ。」
「僕はハンバーガーじゃなくてバニラシェイクでいいです。」
「へっ、相変わらず甘ったるいもんなんか飲みやがって。良いぜ、10杯でも20杯でも奢ってやる。」
なぜか妙に勝ち誇ったように笑い、火神は添削の終わったプリントを手に席を立って教室を出て行った。
―一週間後
「・・・えっと・・・とりあえず、今日はごちになります。火神君。」
机の上に崩れ落ちている火神に、黒子は躊躇いつつも、丁寧に頭を下げて言った。そして窓から吹き込む風に煽られるプリントを再度見やった。
その点数、10点
「(まさかこれ以上下がりしろがあるとは思いませんでした。)・・・ちなみにいったい何があったんですか、これ。」
「いや・・・。」
火神は突っ伏したまま応えた。
「・・・丸々同じもん出るんだったらもう答えもわかってるし、余裕じゃんって思って前日までほっといたら・・・こうなった。」
「・・・・・・。」
「監督に、喝を入れて頂きましょう、火神君。きっとその方が火神君のためになると思います。」
長い沈黙の後、黒子は無表情なままそう告げた。
放課後の、部活が始まる少し前の出来事。
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いくらなんでもここまで馬鹿じゃないよな、火神。なんかあまりにも日常的過ぎて普通に原作でありそう。
手元に資料がない状態で書いたので、口調とかあやふやです。
黒子っちに「アホですか?」って言わせたかっただけ。
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