ねぇ、軌道に乗ったその続きは愛のバジェット増やさなくちゃ
2008年12月6日 SS俺が城錠の元に弟子入りして大分経った。
自分で言うのもなんだけど、腕前はかなり上達したと思う。
城錠は相変わらず母さんとの事は自分からはあまり話さないけど、でも大体俺が想像したとおりの、いわゆるバカップル夫婦っぽい生活を送ってるみたいだ。
最近は城錠が何を考えているのか、口に出さなくてもわかるようになってきて、コミュニケーションもバッチリだ。
と思ってたんだけど。
「おい!もたもたすんな、さっさと木材運べ!!」
「う、うぃっす!」
今日は違う。
「なぁ雷斗。今日の城錠さんすげぇ荒れてねぇ?お前なんかしたんじゃねぇの?」
「なんで俺のせいなんですか、特になんもしてませんよ。」
「お前ら!!無駄口叩いてないで仕事しろ!!!」
「「はいっ!」」
ものすっっっげぇ機嫌が悪い。
元々無表情な城錠の眉間にやけに目立つ皺が一本、はっきりと刻まれてる。
正直、城錠を怒らせたような覚えは無い。
仕事はちゃんとしてるし、口は動くけどそれ以上に腕も動かしてる。
つーか、昨日城錠には「仕事の覚えも作業も早い」って褒められたばっかりだ。
今日は、俺が何かするより前から既に城錠の機嫌の悪さはMAXだった。
ガキのころからなんだかんだで城錠に世話になってきたけど、こんな風に荒れることはなかった。
あるとすれば、母さんが昔、城錠を家に呼んで昼飯作ってあげた時に、清四郎の話をしたら、突然機嫌が悪くなって飛び出したってくらいか?
だけど、あれ以来城錠が声を荒上げて怒鳴ったりするようなことはない。
理由もなくイライラする事なんて誰でもあることだけど…。
「ここ、寸法間違ってんじゃねぇか!やり直せ!」
「す、すんません!!」
ぶっちゃけ無茶苦茶怖い。母さんがキレた時並みに怖い。
「な、なぁ城錠…さん。」
「あ?なんだ雷斗。」
「な、なんかあったのか…いや、あったんデスカ…?」
「なんだそれは。」
「いや、だって、なんか今日すっげぇ機嫌悪いから…」
「悪くねぇよ!」
いや、その返事が既に悪いことを証明してますよ、お義父さん。
なんだってんだ、いい年してんのになんかすげぇ子供みたいな…。
…そう、そうだ。なんていうか、子供が拗ねてるみたいな感じなんだ、今日の城錠は。
「もしかして、母さんと何かあった、…とか?」
「何もねぇよ!さっさと腕動かせ!!」
…あったんだな。
それはそれで珍しいけど。
うーん。なんだろな、母さんと関わることでこんなに機嫌が悪くなるなんて…。
まさか、母さんの奴、この期に及んで清四郎の話でもしたのか…?
いや、母さんもさすがにそこまで鈍感じゃない。それに、例の学歴コンプレックスは乗り越えたはずだ。
だとしたらなんだ…?
母さんと堂島さんが話してるところでも見たのか?
いや、でもこの二人の間柄は城錠も知ってるはずだし・・・。
―キーンコーンカーンコーンー…
うんうん唸って脳内で自問自答を繰り返しているうちに、昼休みを告げる鐘が鳴った。
弁当持ちの奴らは適当な場所に腰を下ろしたり、そうじゃない奴は近くのコンビニに買出しに行ったりし始める。
城錠は毎日母さんの愛情弁当だからこの時間は外出したりしない。
…はずなのに。
城錠は眉間の皺をそのままに現場を離れようとしていた。
「あれ?弁当じゃないのか?」
「あぁ?!」
「うっ。」
やばい、なんか怒りのボルテージがあがった。なんだ、なんなんだよ。
つーか怖い!なんで金槌持ってんだよ!!暴力反対!!DV反対!!!!
「尚哉ー!」
身の危険を仄かに感じたところで、この場の空気に全っ然合わない声が割って入ってきた。
「…夏見。」
「あ、母さん。」
あぁ、持つべきものはお母様。城錠の表情がちょっとだけ怖くなくなった。
母さんはそれでもやっぱり不機嫌な城錠の元に駆け寄る。
「どうしたんだ。現場にくるなんて珍しいな。危ないからあんまりうろつくな。」
「『どうしたんだ。』じゃないでしょ。はい、お弁当!」
「・・・・。」
おーい、俺がいつの間にかそっちのけになってまーす。
とでも言おうかと思った位に、母さんはイイ笑顔で城錠にデカイ弁当を差し出した。
「…?箱が違うな。それに暖けぇ。」
「うん、だって尚哉、朝お弁当忘れて行ったでしょ?どうせ届けるなら出来立てにしたかったから。」
「…!わざわざ作り直して届けにきたのか…?!」
「そうよ~?…というわけで、雷斗。アンタにはこっちね。」
と、俺には、多分朝城錠が忘れていったほうの弁当を渡してきた。
ものすごく突っ込みどころ満載な感じを堪えて、それを受け取りながら俺は城錠を見やった。
「わ、悪ぃな。…サンキュ。」
「どういたしまして!」
うわー…。なんですかこの超幸せオーラは。
いつの間にか城錠の眉間の皺が綺麗さっぱりなくなって、バックではなんかパァァってな感じで花でも咲いてそうだ。よく見れば頬までうっすら紅いし。
つーか、これは、まさかとは思うけど。
「…なぁ、城錠?」
「なんだ?」
「今日、午前中ずっと機嫌が悪かったのって、母さんの弁当忘れたから…とか?」
「…別に。悪くねぇだろ。」
「いや、確実に嵐吹き荒れまくってただろ!!」
「え?なに、尚哉の機嫌そんなに悪かったの?」
「あぁ、これ以上ないくらい。」
俺があきれ返ってそういうと、母さんは、ぶっちゃけその年には似合わない、小悪魔的な笑みを浮かべた。
「もう、尚哉ったら。子供みたいなんだから。」
「うるせぇな!別に機嫌が悪いなんて一言も…!」
「はいはい、照れないの。」
「照れてねぇ!つーか、休憩中でもその辺に色んなもん落ちてて危ねぇんだから、早く家に戻れ、夏見。」
「はーい。」
うんうん。いつまでも夫婦円満でなにより。母親の幸せは息子である俺の幸せでもありますよ、かあさん。
でもなんでだろうね、なんかすげえ、思いっきり笑いがなら怒鳴りつけて泣きてぇ。
…つーか。
「いちゃつくんなら外に行け!このバカップル夫婦ー!!!!」
その後俺は、桜田麩でハートが描かれ、海苔で『尚哉&夏見』と書かれた弁当で止めの一撃を喰らうのだった。
― 煙を上げて飛び出した二人のロケット宙を舞うよ
悲しみなんて地上に残しユラユラ揺れて彷徨うよ
song by GARNET CROW-二人のロケット-
----
DEARMYSUN、城錠再婚ルートその後の話。
あー、城錠パネェ。夏見には本気で幸せになってほしい。
ところで話まったく変わりますが、最近のIQ○プリのナレーションすごいですね、司馬ちゅにシギーにしょうゆにしょこたんに周泰でてますよ。
自分で言うのもなんだけど、腕前はかなり上達したと思う。
城錠は相変わらず母さんとの事は自分からはあまり話さないけど、でも大体俺が想像したとおりの、いわゆるバカップル夫婦っぽい生活を送ってるみたいだ。
最近は城錠が何を考えているのか、口に出さなくてもわかるようになってきて、コミュニケーションもバッチリだ。
と思ってたんだけど。
「おい!もたもたすんな、さっさと木材運べ!!」
「う、うぃっす!」
今日は違う。
「なぁ雷斗。今日の城錠さんすげぇ荒れてねぇ?お前なんかしたんじゃねぇの?」
「なんで俺のせいなんですか、特になんもしてませんよ。」
「お前ら!!無駄口叩いてないで仕事しろ!!!」
「「はいっ!」」
ものすっっっげぇ機嫌が悪い。
元々無表情な城錠の眉間にやけに目立つ皺が一本、はっきりと刻まれてる。
正直、城錠を怒らせたような覚えは無い。
仕事はちゃんとしてるし、口は動くけどそれ以上に腕も動かしてる。
つーか、昨日城錠には「仕事の覚えも作業も早い」って褒められたばっかりだ。
今日は、俺が何かするより前から既に城錠の機嫌の悪さはMAXだった。
ガキのころからなんだかんだで城錠に世話になってきたけど、こんな風に荒れることはなかった。
あるとすれば、母さんが昔、城錠を家に呼んで昼飯作ってあげた時に、清四郎の話をしたら、突然機嫌が悪くなって飛び出したってくらいか?
だけど、あれ以来城錠が声を荒上げて怒鳴ったりするようなことはない。
理由もなくイライラする事なんて誰でもあることだけど…。
「ここ、寸法間違ってんじゃねぇか!やり直せ!」
「す、すんません!!」
ぶっちゃけ無茶苦茶怖い。母さんがキレた時並みに怖い。
「な、なぁ城錠…さん。」
「あ?なんだ雷斗。」
「な、なんかあったのか…いや、あったんデスカ…?」
「なんだそれは。」
「いや、だって、なんか今日すっげぇ機嫌悪いから…」
「悪くねぇよ!」
いや、その返事が既に悪いことを証明してますよ、お義父さん。
なんだってんだ、いい年してんのになんかすげぇ子供みたいな…。
…そう、そうだ。なんていうか、子供が拗ねてるみたいな感じなんだ、今日の城錠は。
「もしかして、母さんと何かあった、…とか?」
「何もねぇよ!さっさと腕動かせ!!」
…あったんだな。
それはそれで珍しいけど。
うーん。なんだろな、母さんと関わることでこんなに機嫌が悪くなるなんて…。
まさか、母さんの奴、この期に及んで清四郎の話でもしたのか…?
いや、母さんもさすがにそこまで鈍感じゃない。それに、例の学歴コンプレックスは乗り越えたはずだ。
だとしたらなんだ…?
母さんと堂島さんが話してるところでも見たのか?
いや、でもこの二人の間柄は城錠も知ってるはずだし・・・。
―キーンコーンカーンコーンー…
うんうん唸って脳内で自問自答を繰り返しているうちに、昼休みを告げる鐘が鳴った。
弁当持ちの奴らは適当な場所に腰を下ろしたり、そうじゃない奴は近くのコンビニに買出しに行ったりし始める。
城錠は毎日母さんの愛情弁当だからこの時間は外出したりしない。
…はずなのに。
城錠は眉間の皺をそのままに現場を離れようとしていた。
「あれ?弁当じゃないのか?」
「あぁ?!」
「うっ。」
やばい、なんか怒りのボルテージがあがった。なんだ、なんなんだよ。
つーか怖い!なんで金槌持ってんだよ!!暴力反対!!DV反対!!!!
「尚哉ー!」
身の危険を仄かに感じたところで、この場の空気に全っ然合わない声が割って入ってきた。
「…夏見。」
「あ、母さん。」
あぁ、持つべきものはお母様。城錠の表情がちょっとだけ怖くなくなった。
母さんはそれでもやっぱり不機嫌な城錠の元に駆け寄る。
「どうしたんだ。現場にくるなんて珍しいな。危ないからあんまりうろつくな。」
「『どうしたんだ。』じゃないでしょ。はい、お弁当!」
「・・・・。」
おーい、俺がいつの間にかそっちのけになってまーす。
とでも言おうかと思った位に、母さんはイイ笑顔で城錠にデカイ弁当を差し出した。
「…?箱が違うな。それに暖けぇ。」
「うん、だって尚哉、朝お弁当忘れて行ったでしょ?どうせ届けるなら出来立てにしたかったから。」
「…!わざわざ作り直して届けにきたのか…?!」
「そうよ~?…というわけで、雷斗。アンタにはこっちね。」
と、俺には、多分朝城錠が忘れていったほうの弁当を渡してきた。
ものすごく突っ込みどころ満載な感じを堪えて、それを受け取りながら俺は城錠を見やった。
「わ、悪ぃな。…サンキュ。」
「どういたしまして!」
うわー…。なんですかこの超幸せオーラは。
いつの間にか城錠の眉間の皺が綺麗さっぱりなくなって、バックではなんかパァァってな感じで花でも咲いてそうだ。よく見れば頬までうっすら紅いし。
つーか、これは、まさかとは思うけど。
「…なぁ、城錠?」
「なんだ?」
「今日、午前中ずっと機嫌が悪かったのって、母さんの弁当忘れたから…とか?」
「…別に。悪くねぇだろ。」
「いや、確実に嵐吹き荒れまくってただろ!!」
「え?なに、尚哉の機嫌そんなに悪かったの?」
「あぁ、これ以上ないくらい。」
俺があきれ返ってそういうと、母さんは、ぶっちゃけその年には似合わない、小悪魔的な笑みを浮かべた。
「もう、尚哉ったら。子供みたいなんだから。」
「うるせぇな!別に機嫌が悪いなんて一言も…!」
「はいはい、照れないの。」
「照れてねぇ!つーか、休憩中でもその辺に色んなもん落ちてて危ねぇんだから、早く家に戻れ、夏見。」
「はーい。」
うんうん。いつまでも夫婦円満でなにより。母親の幸せは息子である俺の幸せでもありますよ、かあさん。
でもなんでだろうね、なんかすげえ、思いっきり笑いがなら怒鳴りつけて泣きてぇ。
…つーか。
「いちゃつくんなら外に行け!このバカップル夫婦ー!!!!」
その後俺は、桜田麩でハートが描かれ、海苔で『尚哉&夏見』と書かれた弁当で止めの一撃を喰らうのだった。
― 煙を上げて飛び出した二人のロケット宙を舞うよ
悲しみなんて地上に残しユラユラ揺れて彷徨うよ
song by GARNET CROW-二人のロケット-
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DEARMYSUN、城錠再婚ルートその後の話。
あー、城錠パネェ。夏見には本気で幸せになってほしい。
ところで話まったく変わりますが、最近のIQ○プリのナレーションすごいですね、司馬ちゅにシギーにしょうゆにしょこたんに周泰でてますよ。
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