over 25℃ summer day
2008年7月12日 SS コメント (1)不思議な人なんだと思う。
目上の人にはもちろんだけど、年下の人にも敬語を使うし。
芭蕉先生だけはなぜか「さん」付けで呼ぶ。そして噂では授業態度も普段からは想像もできないほどアレらしい。
(そういえば前に泣きながら歩いている芭蕉先生をみた気がする。)
そして。
「妹子さん。」
「あ、こんにちは曽良先輩。」
生徒会長である太子を通じて知り合った、同じく生徒会の書記の曽良先輩は、僕が図書委員の当番のときの放課後に必ず図書室に来る。
「昨日薦めてもらった本を返しに来ました。」
「え?!もう読まれたんですか!」
バリバリの文系らしい先輩の速読には恐れ入る。
僕が読み解くのに4日かかった本を今日みたいに1日足らずで読破するなんていつものことだ。
それも流し読みじゃなく、その本を、必要と在らばかいつまんで判りやすく解説できるほど内容が頭に入っているレベル。
著者のグダグダした後書きなんかよりよほどためになることも多い。
「なかなかおもしろかったです。」
「それはよかったです。この作者のシリーズは僕のお気に入りなんで…。」
返却確認のスタンプを押しながら短い会話を交わす。綺麗に押せたことに小さく満足して先輩に視線を合わせた。
「そうだ、河合せんぱ」
「名前。」
「す、すみません。」
初めて会ったときも、先輩を苗字で呼んだら訂正された。
太子の話だと幼少の時にご両親が亡くなって親戚に引き取られた時に苗字が変わり、さらにその親戚も亡くなって別の家に回され再び苗字が変わってしまったため、苗字そのものにあまり馴染めないらしい。
(だけど今のはちょっと、かなり怖かった。)
「それであの、実はこの著者の新作が今日入ったんですけど、先輩読まれますか?」
本当ならその日入ったばかりの本は翌日以降からの公開になる。
だけど、なんとなく先輩には早く読んで欲しくて僕は後ろの委員以外触れない書架から新品の本を取り出した。
「いいんですか?」
「はい。」
「…ありがとうございます。」
あ。笑った。
前に芭蕉先生は『曽良くんは海の日じゃないと笑わない』と意味不明なことを言っていたけどそんなこと無いと思う。最近は特に。
「そういえば。」
「はい?」
「今日の昼休みまた太子さんが逃げ出しました。」
「げ!またですか?!あぁもう、あの馬鹿!!…その、なんかすみません…。」
どうしてあんな人が会長になれたんだろう。学校の七不思議の中の一つに入っても過言じゃない、絶対に。
「なぜ妹子さんが謝るんですか。」
「え?あぁいえ、なんかなんとなく謝らなきゃならない気がして…。昔からそうだったんです。太子の悪戯に付き合わされて最終的に怒られるのも謝るのも僕だったんで。」
「そう、ですか。」
「あ、でも今度居なくなったときは屋上とか探してみるといいですよ、あの人ああいう場所好きですし。」
「そうなんですか。」
僕と先輩以外この場所に居なかったからか僕は声量を抑えるのを忘れていた。
「それから、最近校庭の隅っこのほうに野良猫が住み着いてるの知ってますか?」
「いえ。」
「あの馬鹿あれで結構動物好きなんでそこに逃げてるかもしれません。」
先輩から太子の話題が出てきて、僕はいつの間にか勝手にべらべら話していた。
愚痴交じりのそれにも先輩は一つ一つちゃんと相槌をうってくれる。
「…よく知ってるんですね。太子さんの事。」
「えぇまあ。あの人とは幼馴染と言う名の腐れ縁ですから。…自然とそうなってしまったというか…。」
僕はこのとき先輩の眉間が動いたことに気付かなかった。
「妹子さん。」
「はい。」
「今日はもう委員の仕事は終わりですか?」
「はい。この返却された本を棚に戻せば終わりです。」
「手伝いますから一緒に帰りましょう。」
僕が止める前に曽良先輩は無駄の無い動作で僕から数冊の本を抜き取り、番号を確認しながら書棚に向かった。
「あ、あのせんぱ」
「妹子とは本の趣味が合うのでゆっくり話しながら帰りたいんです。」
「え、はい…え?あれ?」
…今呼び捨てにされた?
「なんなら僕の事を曽良って呼んでも構いません。」
心読まれた!
結局僕たちはその後、本以外の事もたくさん話して帰った。
夏の夕暮れに並んだ足跡 不揃いな影がほら 気だるく揺れてる
二人同じ時を過ごしたからもっとその先のほうへ手を伸ばしたくなる
----
夢見すぎ。あれだ、あまりに暑くて脳に蛆か何か沸いてしまったんだ。
もうニコ動の影響で曽妹が。
ピンだと竹中さん好きなんだけど、CPになるとどうしても妹子受け贔屓になるを…!
自分的日和学パロ設定
太子→3年生徒会長。妹子とは幼馴染なので呼び捨てにさせてる。
曽良→3年生徒会書記。太子とクラスメイト。
妹子→2年生図書委員。登下校のときは大抵太子がくっついてくる。
芭蕉さん→古典担当。太子のクラスの担任。
ちなみに曽良の両親が〜の辺りはちょっと史実を意識してみたりしなかったり。
song by GARNET CROW -雨上がりのBlue-
目上の人にはもちろんだけど、年下の人にも敬語を使うし。
芭蕉先生だけはなぜか「さん」付けで呼ぶ。そして噂では授業態度も普段からは想像もできないほどアレらしい。
(そういえば前に泣きながら歩いている芭蕉先生をみた気がする。)
そして。
「妹子さん。」
「あ、こんにちは曽良先輩。」
生徒会長である太子を通じて知り合った、同じく生徒会の書記の曽良先輩は、僕が図書委員の当番のときの放課後に必ず図書室に来る。
「昨日薦めてもらった本を返しに来ました。」
「え?!もう読まれたんですか!」
バリバリの文系らしい先輩の速読には恐れ入る。
僕が読み解くのに4日かかった本を今日みたいに1日足らずで読破するなんていつものことだ。
それも流し読みじゃなく、その本を、必要と在らばかいつまんで判りやすく解説できるほど内容が頭に入っているレベル。
著者のグダグダした後書きなんかよりよほどためになることも多い。
「なかなかおもしろかったです。」
「それはよかったです。この作者のシリーズは僕のお気に入りなんで…。」
返却確認のスタンプを押しながら短い会話を交わす。綺麗に押せたことに小さく満足して先輩に視線を合わせた。
「そうだ、河合せんぱ」
「名前。」
「す、すみません。」
初めて会ったときも、先輩を苗字で呼んだら訂正された。
太子の話だと幼少の時にご両親が亡くなって親戚に引き取られた時に苗字が変わり、さらにその親戚も亡くなって別の家に回され再び苗字が変わってしまったため、苗字そのものにあまり馴染めないらしい。
(だけど今のはちょっと、かなり怖かった。)
「それであの、実はこの著者の新作が今日入ったんですけど、先輩読まれますか?」
本当ならその日入ったばかりの本は翌日以降からの公開になる。
だけど、なんとなく先輩には早く読んで欲しくて僕は後ろの委員以外触れない書架から新品の本を取り出した。
「いいんですか?」
「はい。」
「…ありがとうございます。」
あ。笑った。
前に芭蕉先生は『曽良くんは海の日じゃないと笑わない』と意味不明なことを言っていたけどそんなこと無いと思う。最近は特に。
「そういえば。」
「はい?」
「今日の昼休みまた太子さんが逃げ出しました。」
「げ!またですか?!あぁもう、あの馬鹿!!…その、なんかすみません…。」
どうしてあんな人が会長になれたんだろう。学校の七不思議の中の一つに入っても過言じゃない、絶対に。
「なぜ妹子さんが謝るんですか。」
「え?あぁいえ、なんかなんとなく謝らなきゃならない気がして…。昔からそうだったんです。太子の悪戯に付き合わされて最終的に怒られるのも謝るのも僕だったんで。」
「そう、ですか。」
「あ、でも今度居なくなったときは屋上とか探してみるといいですよ、あの人ああいう場所好きですし。」
「そうなんですか。」
僕と先輩以外この場所に居なかったからか僕は声量を抑えるのを忘れていた。
「それから、最近校庭の隅っこのほうに野良猫が住み着いてるの知ってますか?」
「いえ。」
「あの馬鹿あれで結構動物好きなんでそこに逃げてるかもしれません。」
先輩から太子の話題が出てきて、僕はいつの間にか勝手にべらべら話していた。
愚痴交じりのそれにも先輩は一つ一つちゃんと相槌をうってくれる。
「…よく知ってるんですね。太子さんの事。」
「えぇまあ。あの人とは幼馴染と言う名の腐れ縁ですから。…自然とそうなってしまったというか…。」
僕はこのとき先輩の眉間が動いたことに気付かなかった。
「妹子さん。」
「はい。」
「今日はもう委員の仕事は終わりですか?」
「はい。この返却された本を棚に戻せば終わりです。」
「手伝いますから一緒に帰りましょう。」
僕が止める前に曽良先輩は無駄の無い動作で僕から数冊の本を抜き取り、番号を確認しながら書棚に向かった。
「あ、あのせんぱ」
「妹子とは本の趣味が合うのでゆっくり話しながら帰りたいんです。」
「え、はい…え?あれ?」
…今呼び捨てにされた?
「なんなら僕の事を曽良って呼んでも構いません。」
心読まれた!
結局僕たちはその後、本以外の事もたくさん話して帰った。
夏の夕暮れに並んだ足跡 不揃いな影がほら 気だるく揺れてる
二人同じ時を過ごしたからもっとその先のほうへ手を伸ばしたくなる
----
夢見すぎ。あれだ、あまりに暑くて脳に蛆か何か沸いてしまったんだ。
もうニコ動の影響で曽妹が。
ピンだと竹中さん好きなんだけど、CPになるとどうしても妹子受け贔屓になるを…!
自分的日和学パロ設定
太子→3年生徒会長。妹子とは幼馴染なので呼び捨てにさせてる。
曽良→3年生徒会書記。太子とクラスメイト。
妹子→2年生図書委員。登下校のときは大抵太子がくっついてくる。
芭蕉さん→古典担当。太子のクラスの担任。
ちなみに曽良の両親が〜の辺りはちょっと史実を意識してみたりしなかったり。
song by GARNET CROW -雨上がりのBlue-
コメント
遣隋使組はどっちでもいけるけど,どっちかいうとね.