「・・・・で?」
「すみません鳳様。」
「言っておくが、三十路近くの図体のでかいどこか間違ったホストのような男が正座して上目遣いしても不快、且つ不愉快で見苦しいだけだからね葛城先生。」
玄関先で家の主が仁王立ち。
対して居候は正座。
そして正座している男の後ろではつい数分前まで『花瓶』と呼ばれていた筈の陶器のかけらが撒き散らされ、その上を、花弁が見る影もなくもがれたバラが鮮やかに彩っていた。
おまけに床にはぶちまかれた水がカーペットの模様を淀ませている。
帰ってきて玄関を開けたらこれはなんと見事な出迎えだろう。
取りあえず鳳は葛城の弁解にならない事情の説明を待った。
「いやさ、ほら明日ってマイスイートハニーがB6受け持って3ヶ月経つだろう?」
「あぁそうだね、まだ若くて新任なのによく頑張っているよ。君と違って。」
「ノーウ!そりゃ酷いんじゃないの鳳センセ。」
「・・・・・。」
「はい、すみませんーごめんなさいー睨まないでー。」
口角が引きつり一瞬で眉間に深い皺がよる。
そうでありながら極上の笑みを無言で向ける鳳のそれは、葛城を黙らせるには充分すぎた。
「だから、それがどうして今の惨状につながるんだい。」
「はい、それを語り明かすにはですね長い時間を要す・・」
「5分以内で話したまえ。」
「いや、だからね。明日その3ヶ月の記念とこれからの働きを応援しようと、俺葛城銀児様は考えたわけですよ。」
頭痛が始りそうな頭をくしゃりと握りながら鳳は何か嫌な予感を覚えながら先を待った。
「で、俺に出来るベストな方法といえば、そりゃもう情熱的でワイルドな抱擁!そして問題はそれをいかにビューティフルかつスマートにこなすか!」
「まさかとは思うけども、その下らなくて暑苦しい、クーリングオフしたくなるような贈り物の練習台に、私のお気に入りの花瓶を使おうとしてこんな状態になったんじゃないんだろうね。」
「うひょう。スンバラシ〜イ推理。ドンピシャ!鳳センセってば探偵の素質があったりなかったりす」
―ドゴン
「ぐふ」
葛城の体が言葉を最後まで紡げずに沈んだ。
その体を玄関マットのごとく鳳は踏み越える。
葛城の腕が空をつかむようにプルプルと震えた。
「お、鳳様?今の一撃いつもよりかーなりヘビィなんですけど?」
「あぁ失礼。手元に原簿がなかったものでこれで代用させてもらったよ。」
と鳳は振り返りもせずに持っていた物を葛城に見えるようちらつかせる。
衝撃でふらつく頭を抑えながら体を起こす葛城の視線にそれが入った瞬間葛城は一瞬卒倒しそうになる。
「ちょ、それ広辞苑・・。え、なに鳳先生俺殺す気?
そんなものの角で頭殴られたら昇天しちゃうよ。」
「大丈夫、今現在君は生きてるじゃないか。それに聖帝学園高等部が誇る名国語教師が広辞苑で死ねるのなら本望だと思うけどね。」
「嫌だ!俺はそんな死に方したくない!子猫ちゃんの・・マイスイートハニーとハッピーウェディングを迎えずして天に召されてたまるかぁああ!」
「もう一発食らうかい?」
「スミマセン御免なさいお許しください鳳様。」
額を打ち付けるように土下座する葛城に対して鳳はもうため息をつく事しか出来なかった。
「早く片付けなさい。夕飯の時間が遅くなる。」
そう言って鳳はキッチンへと姿を消した。
「…なんだかんだでいつも先に食べずに待っててくれるのね、鳳センセ。」
雑巾で荒々しく床を拭く葛城の顔はどこか満足げに微笑んでいた。
---
ビタミンXで葛鳳(リバ可)
杉田さんが暴走しすぎ。
ビタミンXは先生陣が皆好き。すごいや。全部うまいこと私のツボついてる。
九影先生も大好き。
ちなみにタイトルはガネクロの曲から。
「すみません鳳様。」
「言っておくが、三十路近くの図体のでかいどこか間違ったホストのような男が正座して上目遣いしても不快、且つ不愉快で見苦しいだけだからね葛城先生。」
玄関先で家の主が仁王立ち。
対して居候は正座。
そして正座している男の後ろではつい数分前まで『花瓶』と呼ばれていた筈の陶器のかけらが撒き散らされ、その上を、花弁が見る影もなくもがれたバラが鮮やかに彩っていた。
おまけに床にはぶちまかれた水がカーペットの模様を淀ませている。
帰ってきて玄関を開けたらこれはなんと見事な出迎えだろう。
取りあえず鳳は葛城の弁解にならない事情の説明を待った。
「いやさ、ほら明日ってマイスイートハニーがB6受け持って3ヶ月経つだろう?」
「あぁそうだね、まだ若くて新任なのによく頑張っているよ。君と違って。」
「ノーウ!そりゃ酷いんじゃないの鳳センセ。」
「・・・・・。」
「はい、すみませんーごめんなさいー睨まないでー。」
口角が引きつり一瞬で眉間に深い皺がよる。
そうでありながら極上の笑みを無言で向ける鳳のそれは、葛城を黙らせるには充分すぎた。
「だから、それがどうして今の惨状につながるんだい。」
「はい、それを語り明かすにはですね長い時間を要す・・」
「5分以内で話したまえ。」
「いや、だからね。明日その3ヶ月の記念とこれからの働きを応援しようと、俺葛城銀児様は考えたわけですよ。」
頭痛が始りそうな頭をくしゃりと握りながら鳳は何か嫌な予感を覚えながら先を待った。
「で、俺に出来るベストな方法といえば、そりゃもう情熱的でワイルドな抱擁!そして問題はそれをいかにビューティフルかつスマートにこなすか!」
「まさかとは思うけども、その下らなくて暑苦しい、クーリングオフしたくなるような贈り物の練習台に、私のお気に入りの花瓶を使おうとしてこんな状態になったんじゃないんだろうね。」
「うひょう。スンバラシ〜イ推理。ドンピシャ!鳳センセってば探偵の素質があったりなかったりす」
―ドゴン
「ぐふ」
葛城の体が言葉を最後まで紡げずに沈んだ。
その体を玄関マットのごとく鳳は踏み越える。
葛城の腕が空をつかむようにプルプルと震えた。
「お、鳳様?今の一撃いつもよりかーなりヘビィなんですけど?」
「あぁ失礼。手元に原簿がなかったものでこれで代用させてもらったよ。」
と鳳は振り返りもせずに持っていた物を葛城に見えるようちらつかせる。
衝撃でふらつく頭を抑えながら体を起こす葛城の視線にそれが入った瞬間葛城は一瞬卒倒しそうになる。
「ちょ、それ広辞苑・・。え、なに鳳先生俺殺す気?
そんなものの角で頭殴られたら昇天しちゃうよ。」
「大丈夫、今現在君は生きてるじゃないか。それに聖帝学園高等部が誇る名国語教師が広辞苑で死ねるのなら本望だと思うけどね。」
「嫌だ!俺はそんな死に方したくない!子猫ちゃんの・・マイスイートハニーとハッピーウェディングを迎えずして天に召されてたまるかぁああ!」
「もう一発食らうかい?」
「スミマセン御免なさいお許しください鳳様。」
額を打ち付けるように土下座する葛城に対して鳳はもうため息をつく事しか出来なかった。
「早く片付けなさい。夕飯の時間が遅くなる。」
そう言って鳳はキッチンへと姿を消した。
「…なんだかんだでいつも先に食べずに待っててくれるのね、鳳センセ。」
雑巾で荒々しく床を拭く葛城の顔はどこか満足げに微笑んでいた。
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ビタミンXで葛鳳(リバ可)
杉田さんが暴走しすぎ。
ビタミンXは先生陣が皆好き。すごいや。全部うまいこと私のツボついてる。
九影先生も大好き。
ちなみにタイトルはガネクロの曲から。
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