「君が仕事している所を見てみたい。」

空耳かと思った。


「は?」

さっきまで膝の上で鳴いているハムレット

―アイツが勝手につけた名前で呼ぶのも癪だけど。

ともかく、そのハムレットにシェイクスピアの確か…『夏の夜の夢』を朗読していたんだ。

俺の記憶が間違っていなければこの話に『君が仕事している所を見てみたい』だなんて一節はない。

取りあえず数え切れないほど読みつくした本を閉じて振り返ってみた。

うわ、まっすぐこっちを見ている。

「もう一度言ってみて」

「君が、仕事している所を、見てみたい。って言ったんだ。」

むかつく。イラつく。わざわざ文節ごとに強調して言い直したな。

「もう一度言ってみてって言ったのはネズミの方だろ。ボクはその通りにしただけだ。」

…いつの間に読心術まで身に着けたんだろうねこいつは。


「一応聞くけど何で?」

「理由が必要なの?」

「問いに問いで答えるな腹立つ。」

大体、いっつも何かをするにあたってどうしようもない、下らない、論理的且つ現実的な『理由』を求めるのはお前だろう。

俺はそう口には出さずに膝の上のハムレットに視線を落とした。

途中で朗読を中断されたからか機嫌が悪そうに髭を揺らす。

「早く続き読んでやれ。ハムレットがお怒りだ。」

「話変えないでよ。」

「うるさい。大体あんたイヌカシの仕事があるだろ。」

「毎日ってわけじゃない。」

「お前、なんで自分がこの場所に逃げ込んで、この場所で暮らしているか、生きているか忘れてないか。」

「心配してくれてるの?」


本を、なげつけてやろうかと、本気で思った。
片手でもっていた本が、俺の常人より強い握力で嫌な音を立てる。

「何で見たい?見てどうする?アンタがいっつも聞くことだろ?『どうして?』『なんで?』人にはしつこく求めるくせに自分じゃ答えないのか。卑怯者。」

「今日は君の方が質問多いねネズミ。普段ボクが理由を求めることを馬鹿にするくせに。」

沸々と湧き出すような怒りを感じたのは何年ぶりだろう。

「止めた。」

「え?」

「アンタと言葉遊びして時間を費やすのを止めたって言ったんだよ。」

「別にボクはただ・・」

「いい加減にしろ紫苑、襲うぞ。」

「あの時みたいにスプーンで?」


駄目だ、今日のコイツはなんでこう、人の感情も何もかも抉りだすような切り替えしばかりしてくるんだ。

…違う、俺が…俺も、変だ。


久しぶりに言葉での敗北を味わった気がした。





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NO.6の1〜2巻を読んで。なんか手探り状態だな。

title song by GARNET CROW -Ring Ring a ding-


プルト:バグウェルに何とか勝利。そして長男ヒロヒト入学。

女の子が欲しいけどさすがに旦那が限界のようで兆しなし。
そろそろ次の旦那の目星つけるべきか

ところで長男ヒロヒトは母親のこと「おかあさん」と呼ぶけど次男ヒトシは「ママ」と呼ぶ。何の差。


★私信★

>>ハル

今3巻の半ばぐらいまで進みましたー。
ベッドの中でにやけるの堪えながら本読むの久しぶりだよ。(笑)

コメント

nophoto
ハル
2007年9月28日20:26

おぉこの感じ、確かに初期のネズミと紫苑!ひばりんのネズシオ読めて私は幸せ!!
3巻はにやけるどころじゃないぞフフフ……

子供は順調ね、よきかなよきかな

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